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更新日:2023年8月22日

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補助金活用事例集volume29:株式会社カリブコーヒー(後半)

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インタビュー記事

─ 店舗の場所や3つの業態を併存させることなどは、どうやって決めたのですか。

光さん:新店舗は前の店舗があった向かいの場所にオープンすることになりましたが、実は他にも検討していた候補物件はありました。最終的には、薪焼き料理のためのグリルや飲食店用設備が設置できるかなどの条件を総合的に勘案して決めました。この物件は約40坪で、以前の店舗よりかなり広くなるのですが、3つの業態を併存させるためのスペースを確保するには、相応の固定費がかかりますが、この広さが必要と判断しました。レイアウトは、全体の半分がレストラン部門、もう半分はコーヒーとベーカリー部門のスペースとし、レストランは私、コーヒーは会長、そしてベーカリーは、妻がパン職人として首都圏のパン屋さんで働いていましたので、それぞれの経験を新店舗に活かすことができました。

ベーカリー店内

 

眞孝さん:これまでの数倍の家賃負担となることへの不安もありましたが、前の店舗があった場所のすぐ近くなので、昔からの常連さんも変わらずコーヒー豆を買いに来ていただけますし、以前のお店からのお客様の中にも、ベーカリーやレストランを利用してくださる方もいて、相乗効果も感じています。何より、これまでフランスや東京のレストランで修業してきた息子のキャリアを活かすことができたので、良かったと思います。

 

─ 光さんは、フランスや東京のトップクラスのレストランで修業されてきたと伺っています。värmの核の一つであるレストランには、そうしたキャリアがどのように反映されているのでしょうか。

光さん:これまで修行させていただいたお店は、いずれもシェフや経営者、それぞれの哲学やポリシーがメニューやレストラン空間にしっかり反映された素晴らしい店ばかりでした。全てを取り入れることは難しいのですが、例えば、地元の素晴らしい食材を料理として味わっていただくだけでなく、体験として感じていただけるようしたり、国内最高峰といわれるレストランの火入れ技術を、薪焼きという調理法で提供したりといった自分なりに工夫を凝らしています。

レストラン店内

 

─ 薪焼きという料理方法で提供するレストランは珍しいと思いますが、なぜ薪焼きを取り入れたのですか。

光さん:一番の理由は、私が料理人として初めて修行した店でいただいた薪焼き料理の味がとても美味しかったので、いつか店を持ったときに、取り入れたいと思っていたことです。加えて、当店は、レストランの立地条件としては、必ずしも集客力の高い場所ではないので、当店を目がけて来ていただかなくてはならないため、他の店にはない差別化が重要だと考えていました。薪窯のあるピザ屋さんはありますが、薪グリルがある薪焼き料理のレストランは珍しく、独自性を出せると思ったのです。

薪グリルで調理している様子

 

─ 薪火で焼いているところを実際に見ながら料理を楽しめる機会は貴重ですね。

光さん:レストランの厨房は、オープンキッチンとすることで、薪グリルの炎で調理している様子を実際に見ていただきながら食事できます。もちろん、単に珍しさ目的ではなく、薪火は食材に合わせた火加減を適切にコントロールできれば、理想的な火入れができる調理法です。優れた生産者さんから仕入れた羊やイノシシなどの食材を薪焼きで調理することで、最高に美味しく召し上がっていただけると思います。

薪火

また、ベーカリーでも、レストランの薪グリルで調理した食材を使った惣菜パンも提供しています。コース料理の一品レベルのクオリティーを追求していますので、ぜひ楽しんでいただきたいです。

販売している総菜パンの写真

薪焼きの素材を使ったオリジナリティ溢れる惣菜パンが楽しめるのも複合形態ならではの魅力です。

 

─ 新しくオープンされて、何か変化ありましたか。

眞孝さん:以前の店舗に創業時から通ってくださる方の中には、今や80代になる方もいて、顧客層の高齢化が進んでいましたし、若い方にとって自家焙煎専門店は、「気難しそうな店主がいて、気軽に入りにくい」というようなイメージもあると思います。今回、ベーカリーが併設となったことで、パンを目当てに来店された方がコーヒーも一緒に購入いただけることもあり、売上も大きく伸びました。特に、お子様連れの若い世代のお客様も増え、これまであまり需要のなかったデカフェの売れ行きが伸びるなど、売れ筋商品の傾向も変化していると感じています。
※デカフェ...カフェインレスのコーヒー

カリブコーヒーの看板

光さん:会長時代からのお客様にご利用いただけるのは大変有難いのですが、レストランとしては新規開店となりますので、もっと認知度を高める必要があると考え、飲食業界での私の先輩方や知り合いの方が経営されているお店にショップカードを置かせていただいたり、イベントなどへ出店したり、Instagramを活用した広報なども行っています。

värmの看板

 

─ 今回活用された「事業承継・引継ぎ補助金」についてお聞きします。申請のきっかけや経緯について教えていただけますか

光さん:当社は会長の代から仙台商工会議所の会員で、この補助金は会議所の経営支援担当の方から教えていただきました。もともと、移転・新規開店の資金は、融資で賄う予定でしたが、かなりの投資額となるので、補助金なども活用できればありがたいと思っていたました。これまでの自家焙煎専門店からの業態転換となるので、要件の面や補助額からも、国の事業再構築補助金が活用できるとよかったのですが、ありがたいことに、コロナ禍での巣ごもり需要の影響もあり、補助金申請の売上減少要件を満たせませんでした。そこで担当の方がいろいろ調べてくださり、事業承継・引継ぎ補助金が活用できるとアドバイスいただきました。

※事業再構築補助金申請の必須要件の一つで、売上高等減少要件として、一定額の売上額(制度改正に伴い付加価値額での代替が可能となった)が減少していなければ申請できなかった。2023年度より一部の類型を除いて、売上高減少要件は撤廃された。

 

─ 補助金の申請内容を拝見しましたが、事業承継の背景や、これまで得てきた経験などをどう新規事業に活かせるかなどが簡潔に分かりやすくまとめられていると感じました。これまでこうした補助金の申請書作成の経験はありましたか。

光さん:経験はなかったのですが、まずは自分で申請書を書いてみて、それを会議所の担当の方に見てもらいアドバイスをいただきながら何度か修正してブラッシュアップしました。申請書を作成する際に、これまでの経験で役立ったかもしれないと思うのは、イギリスのワイン資格WSET®(ダブリューセット)を取得するための練習でしょうか。WSET®の試験では、ワインに関して聞かれていることに対して、なぜそうなのか的確な答えが求められるので、試験対策としてショートエッセイを書く練習をしていました。そうした過程で記述力を培うことができたかもしれません。

 

─ 最後にこれからの展望をお聞かせください。

眞孝さん:コーヒー豆自家焙煎の事業に関しては、開業時から使用している機器なども適切にメンテナンスしていけば、まだまだ使えますし、今回の移転を機に新しく導入した設備もあります。移転後に新しく社員に加わったメンバーもおりますので、機械設備の使い方も含め、コーヒーの焙煎技術やノウハウを息子世代に引き継いでいきたいです。

焙煎作業をしている会長

 

光さん:現状では、レストラン部門はコーヒーとベーカリー部門に比べるとまだまだですが、コーヒーとベーカリー部門での一定の売上があるからこそ、レストラン部門で思い切った挑戦ができると思っており、会長の築いてきた歴史に感謝しています。一方で、地域の方々にも、このレストランの存在が十分知られていないという問題意識を持っており、ご近所の方向けのポスティングや、小さなお子様連れのお客様にも気軽に利用いただけるファミリーデーなどのイベントも行っています。将来的には、地域の方はもちろん、県外や国外の方にも、当店を目的に仙台に足を運んでもらえるようなレストランとして発展させたいと考えています。

 

─ 本日は貴重なお話をいただきましてありがとうございました

 

認定支援機関:仙台商工会議所

 仙台商工会議所では、創業から事業継承まで会員企業の事業継続と発展をライフサイクルに応じてサポートいたします。経営課題の解決や販路拡大・PR、人材確保・育成・定着や福利厚生の充実に商工会議所事業をご活用ください。

 今回紹介した株式会社カリブコーヒーの取り組みも支援されており、同社の認定支援機関としての支援のきっかけや具体的な支援内容などについてお話を伺いました。詳しくは仙台商工会議所のインタビューページをご覧ください。

担当者の写真

 

地域産業応援金

 仙台市では、国の補助金などを活用し、前向きな投資や事業活動を実施する市内事業者に対し、その取り組みを後押しする『仙台市地域産業応援金』を支給しています。
 今般の原油価格高騰等の影響を踏まえ、新たに「原油価格・物価高騰等加算」を新設し、支給額を増額してます。詳しくは地域産業応援金のページをご覧ください。

 

補助金申請の相談窓口「オーエン」

オーエンロゴ(外部サイトへリンク) 

 仙台圏の事業者の経営課題解決を”応援”する相談窓口「オーエン」を(公財)仙台市産業振興事業団に設置しています。補助金申請に関する相談はもちろん、経営、財務、人事労務、マーケティングなど、たくさんのプロフェッショナルが在籍し、あなたの「困った」を無料でサポートし、ビジネスの成長と継続を後押しします。
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