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更新日:2024年3月14日
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事業者 |
ベルギー食堂 どうくつ 所在地:宮城県仙台市青葉区八幡4-2-13 |
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活用補助金 | |
既存事業 | 飲食店(ベルギー料理店) |
管理栄養士でもある店主の萱森有希さんが、ベルギーの家庭料理をベースとした、美味しさと健康に寄り添った食事を提供するベルギー食堂どうくつ。補助金を活用して音楽と食事を楽しむイベントを開催し、店の認知度向上に取り組みました。その経緯やポイント、効果について萱森さんにお話を伺いました。
(PDF:2,068KB)
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──はじめに運営している店舗概要について教えてください。
料理人、そして管理栄養士として産婦人科で働いてきた経歴を生かして、2023年1月から仙台市の八幡エリアで、美味しさと健康に寄り添ったベルギー料理を提供しています。当店は表通りに面しておらず隠れ家的な要素が強く、店舗スペースに対して座席数を少なく設けているため、ゆったり料理とお酒をお楽しみいただけます。提供する料理で大切にしているのは、何よりも美味しいこと。まずは「これは美味しい!」と心が喜んで、その上で栄養バランスもしっかり取れるように。結果的に身体が健康になれる食事を提供したい思いが根底にあります。
――提供しているベルギー料理にはどういった特徴がありますか。
定義を答えるのは難しいのですが、当店の料理は、ヨーロッパの田舎料理や家庭料理が近いかと思います。以前、東京のベルギー料理店で7年間働いており、一時期ベルギーに滞在した経験もありますが、素材を素朴に仕立てる温かみのある料理がベルギーには多くあります。代表的なものはムール貝のワイン蒸しやポテトフライなど、シンプルで素材が生きた料理というイメージが、自分の中ではあります。仙台ではベルギー料理をメインに据えた店舗はなく、初めて来店されるお客様の中には珍しがられる方もいます。
――食材にもこだわっていると伺いました。
今の場所にいることで自ずと東北にある良質な素材との繋がりが生まれ、結果的にブリュッセルでも東京でも味わえない、仙台だからこそのベルギー料理が提供できると思っています。例えば野菜は村田町で野菜作りをしている方に直接届けていただき、ムール貝は三陸のものを。豚肉に関しては栗原市の養豚場に足を運び、養豚家の方と相談しながら選んだ豚を一頭買いして全てを食材として大切に使わせてもらっています。
――今回は小規模事業者持続化補助金を活用して音楽イベントを開催したと伺いました。どのような経緯から企画されたのでしょうか。
もともと「どうくつ」という店名で創業することを決めており、温かみがあり、日常に溶け込む食堂を思い描いていました。表通りから少し奥まった現在のロケーションがどうくつの雰囲気と重なり、イメージにぴったりだった一方で、奥まっている立地ゆえに店を知ってもらいにくいのが課題でした。常連のお客様を少しずつ増やせればと考えていましたが、店の存在を知っていただかなければそれも叶いません。当店に関心を持っていただくきっかけとなる必要性を強く感じていました。その悩みを商工会議所に相談したところ、小規模事業者持続化補助金を紹介され、企画したのがプロの音楽家を招いての「音楽とワインとベルギー料理を楽しむ会」です。
――なぜ音楽を主体としたイベントだったのでしょうか。
創業前、同様のイベントを開き好評だった実績もあり、幅広いジャンルで活躍されるプロの音楽家に出演いただくことで新規顧客開拓につながると考えました。私自身、東京で働いていた時代に生演奏を聴きながら食事を楽しむ素晴らしさを経験し、「いつか自分の店を構えたら、心が豊かになるひとときをお客様に提供したい」と考えていました。コストを考えると自費だけでは実現困難な企画でしたが、補助金を活用できることが分かり、創業1年目に思い切って開催に踏み切りました。
――当日の集客やお客様の反応はいかがでしたか。
イベント当日は昼・夜の2部構成で実施し、それぞれ25名程度の定員としていました。仙台ではプロの生演奏を聴きながらゆっくり食事を楽しめる機会が少なく集客が不安でしたが、チラシやSNSでの発信、音楽家によるPRもあり、目標の集客はほぼ達成できました。当日は、演奏者もお客様も一体感に包まれ、皆さまから「素敵な時間をありがとう」というお声をいただきました。
――イベント開催後、認知度や集客に変化はありましたか。
イベント時に初来店されたお客様が再訪していただいたり、当日は来られなかった方が後日来店されたこともあります。また、地域の方から「面白そうなことやっているのね、今度行ってみるよ」とお声をかけていただけるようになりました。コストを考慮すると、自費だけでは困難だった今回のイベント。一気に集客が伸びたわけではありませんが、補助金を活用し実施できたことで、着実に認知度の向上、新規客の獲得に結びついています。すぐに同様のイベント開催は難しいですが、効果が大きいことが分かりましたので毎年継続できる方法を模索しているところです。
――補助金申請についてはどんな点に気をつけましたか。
今回、イベント開催費用以外にも快適な空間づくりのための客席フロア修繕や、ドリンクの品質管理向上に向けてワインセラーの購入も補助事業の対象としていただきましたが、申請から補助金が入金されるまでタイムラグがあります。その間の経費や口座残高など、資金面の調整は特に気をつけました。この期間に購入すると全額持ち出しになるので、タイミングをもう少し遅らせようなど、申請そのものよりも、その後のスケジュールを考慮する必要がありました。
――商工会議所の担当者からはどのようなサポートがありましたか。
担当者は経営状況や補助金の相談をすると即対応してくれる方で、自分一人では難しかった書類作成も、一緒に確認しながら進めることでスムーズに申請できました。そもそもこうしたイベントに補助金を活用できるとは思ってもみなかったので、情報をいただけたことが何よりのサポートでした。この店は長く続けていきたいと考えていますので、多額の経費がかかる場合、補助金活用の可能性があると安心材料になります。
――最後に今後の展望についてお聞かせください。
今回のようなイベントを含め、店舗運営を通して、人生を豊かにする食の力を幅広いお客様に伝えていきたいと思います。当店は女性店主ということもあり、女性ひとりでのお客様や家族連れの方も気軽に来店いただける雰囲気があるはずです。今後、店づくりの可能性を広げていく上で、地域の方の認知度を高めていきたいです。料理人と管理栄養士の資格、経歴を生かして、ただ食事を提供するだけではない、子育て中の方がほっとできる空間や子どもたちに食を通じた健康なども届けたいと考えています。
――本日は貴重なお話をありがとうございました。
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