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更新日:2024年1月30日
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事業者 |
イワカキ商店 所在地:仙台市太白区土手内1-25-25 |
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採択 | ものづくり補助金 |
既存事業 | ECサイトでの牡蠣等の販売 |
ECモールで殻付き生カキを中心とした商品を販売するイワカキ商店。販売ランキング1位の実績を有する盛況ぶりです。運営する岩佐亘さん・玲子さん夫妻は、不要なコストを抑えることでさらなる品質向上を目指し、オリジナルの梱包用発泡スチロール製造に取り組みました。今回のインタビューでは、ものづくり補助金を活用して実施したこの取り組みについて、お話を伺いました。
─はじめに現在の事業について教えてください。
約5年前から食料品のEC販売および飲食店への卸売りを行っています。
過去にアパレル会社やEC販売会社での勤務経験があり、そこで培った販売ノウハウや人脈を活かし、イワカキ商店(Yahoo!店等)やイワカキ屋(メルカリShops等)の屋号で事業を行っています。
――取扱商品は水産物がメインですか。
殻付き生カキ、ホヤやホタテなど三陸産の海産物が中心です。それ以外にも山形県産のさくらんぼや桃などの果物、青森県産のとうもろこしなど、東北ならではの商材にこだわって販売しています。
――宮城・東北産の食材へのこだわりは、どのような思いがあるのでしょうか。
私の母方の実家が石巻にあり、昔から海の幸に馴染みがありましたし、東日本大震災で被災したことから、沿岸部の復興に多少でも寄与できればと思っていました。ビジネスの面では、以前勤務していた会社での販売経験を通じて、宮城=カキのイメージが醸成されていることを実感しており、ECモールでの販売を始めるにあたり「まずはカキをメインでいこう」と決めていました。
EC販売なので商圏は全国に広がりますが、東北を拠点としてビジネスを行う上で、その土地と関係のない商材までむやみに扱うべきではないと考えています。「イワカキ商店で取り扱うのは、信頼関係を築いている東北の生産者さんの商材のみ」という一貫性が、お客様からの信頼につながると思っています。
──購入されるのはどの地域の方が多いですか。
やはり首都圏の方が多いですが、地域に関わらず、一度購入いただいた方が定期的に購入される割合が高いですね。
――商品の発送はどこから行っているのでしょうか。
商品は全て産地直送です。主力商品の生カキを中心とした海産物は、石巻の水産加工会社の株式会社Collectionさんと契約しており、石巻や女川の近海で水揚げされた水産物を中心に、厳選された商品を発送していただいています。注文のあった商品の品質の担保や量の確保はもちろん、お盆期間や年末年始期間に関係なく、柔軟に対応いただいており、とても感謝しています。
株式会社Collection代表取締役の阿部歩さん
――今回のものづくり補助金を活用した独自の発泡スチロール製造に取り組まれたきっかけを教えてください。
当店で最も売れ行きがいいのは、殻付き生カキ5kgの商品で、発送には既製品の長方形の発泡スチロールを使用していましたが、その既製品だと、宅配便料金規定サイズを7cmだけオーバーしていて、一段階高い料金単価が適用されてしまい、その費用がもったいないと思っていました。ちょうどいいサイズの既製品があればと、いろいろ探してみたのですが見つからず、ならば自分でつくろうと思い立ち、まずは既存の発砲スチロールを自分で加工した試作品を作ることから始めました。
――いろいろ試作されたのですか。
発送元の株式会社Collectionさんから協力いただきながら、大きさや容量・強度などを検討した結果、正方体の容器とすることで、サイズも一段階安い料金単価に収まる上、カキを入れられる容量も増やせることが分かりました。そこで、これを量産化できないかと考え、いくつかの資材製造会社に打診したところ、量産化を前提としたサンプル作成に協力いただける会社と出会い、オリジナルサイズの発泡スチロール容器を量産化するための金型をつくることにしました。
――送料が安くなったとしても、金型からつくるとなると、まずはそのためにまとまった費用が必要になりますね。
はい。金型製造には約200万円かかります。今より安い料金単価が適用になるので、いずれコストは回収できる見込みでしたが、やはり一時的に大きな費用負担となるので、補助金を活用したいと思いました。いろいろな補助金を調べてみて、今回の取り組みにはものづくり補助金を活用できるのではないかと思い、申請してみることにしました。
――ものづくり補助金は、製造業向けの支援制度のイメージがあったので、これをEC販売事業の方が活用されるのは珍しい事例だと思います。申請は全てご自身でされたのでしょうか。
以前、別の補助金申請時に、銀行から書類作成のサポートしていただいたことがありましたが、今回の取り組みは、事業計画を始めから自分で考えた内容でしたので、資料などを参考にしながら、一人でやれるだけやってみようと思い、結果的には、申請から交付決定まで全て自分自身で完結できました。
――今回の取り組みを思い立ってから実現までに、どのような苦労がありましたか。
既製品がないなら自分でつくればいいと、既製品の発泡スチロールを切り貼りしながら試作を始めましたが、実際にやってみると、発泡スチロールの厚みの調整や容量の確保が難しく、かなりの試行錯誤が必要でした。一時は、本当に実現できるだろうかと諦めかけたこともあります。
それと、ものづくり補助金の事務局との確認のやりとりも大変でした。本当は、生カキの販売のピークがカキの産卵期前の8月上旬なので、それまでに完成させたかったのですが、交付決定までに予想以上に時間がかかり、着想から実現まで1年がかかり、最近になってようやく使い始める目途が立ちました。
――まだ使い始めたばかりとのことですが、どのような効果を期待されていますか。
既存の容器は長方体でサイズは外寸87cm。これを外寸80cmの正立方体にしたことで、運送費削減と容量アップが実現しました。まだ使い始めたばかりですが、これまでの実績から年間数十万円のコスト削減効果があると見込んでいます。
――完成した製品を見ると、これまでこうした容器がなかったのが不思議ですね。
当社のようなEC販売では、コスト削減が収益に直結するので、どうやって不要なコストを削減できるかを考えた一つの解決策でしたが、この容器は殻付き生カキに特化した梱包資材ではありません。例えば株式会社コレクションさんからは、ホタテなど他の水産物も供給いただいており、それらにも活用可能だと思います。また、カキを主力商品とする当社の販売量で削減が見込まれる運送コストは年間数十万円ですが、様々な海産物を取り扱う水産加工会社では、さらにコスト削減が見込めると思います。試行錯誤の末に実現できた梱包資材ですので、契約先をはじめ関係各所と相談して、活用方法を探っているところです。
――今後の展望をお聞かせください。
原材料費が高騰する中で、品質を維持しながら、今後もお客様においしい食材をお届けしていくためには、今回のような不要なコスト削減の取り組みが不可欠です。これからも全国からたくさんの注文を獲得し、おいしい食材を提供し続けて、震災で被害を受けた石巻を少しでも元気づけられたらと思います。また、今回のオリジナルサイズの容器は新たに金型を製造したことで、既製品と同等の金額で調達できます。これを自社だけで使用するのではなく、既製品を使用している同業他社に対して梱包資材として販売し、使用してもらうことで地域全体での効率性向上に役立てられたら嬉しいです。
――本日は貴重なお話をありがとうございました。
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