ページID:16761
更新日:2024年9月19日
ここから本文です。
平成15年2月 仙台市史編さん専門委員会
藤村新一元東北旧石器文化研究所副理事長による旧石器遺跡発掘ねつ造問題に関しては、日本考古学協会および各種研究機関・自治体などの検証作業によって、多くの旧石器時代遺跡が学術的価値を有しないことが明らかになりました。
その結果、仙台市史編さん事業のなかで平成7年に刊行された『特別編2 考古資料』(以下『考古資料』)及び平成11年に刊行された『通史編1 原始』(以下『原始』)で叙述された旧石器遺跡に関しても、ねつ造の疑義が認められ、学術的な価値を否定されたものが多く含まれていることが判明しました。最新の研究成果を叙述に反映させるという趣旨から、編さん時においては学界の一定の認知を受けていた発掘調査成果をもとに記述を行いましたが、結果的に、ねつ造された資料を用いて歴史叙述を行ってしまったことを読者のみなさまに深くお詫び申し上げます。
『考古資料』及び『原始』で取り上げた遺跡のなかで、平成14年5月に公表された日本考古学協会前・中期旧石器問題調査研究特別委員会の中間報告及び仙台市教育委員会文化財課発表の旧石器検証作業の中間報告で、ねつ造の疑義が認められた遺跡は次の通りです。
この他の遺跡に関しても、現在検証作業が進められている遺跡も幾つか存在します。また、仙台市においても教育委員会が検証作業を継続して実施しております。
一方、こうした一連の検証作業によって、富沢遺跡第30次調査地点のうちIV区27層(富沢遺跡保存館―地底の森ミュージアム―で保存・公開されている地点)及び山田上ノ台遺跡の昭和59年度調査分については、ねつ造された事実が認められず、後期旧石器時代の遺跡としての価値を持つことが明らかになっています。
以上のような状況から、既刊の『考古資料』及び『原始』を今後ご利用される際には、以下の点にご留意くださいますようお願いいたします。
今回のねつ造問題によって、日本の旧石器時代研究はその研究姿勢を含めて、再スタートすることになりました。今回のねつ造問題を真摯に受け止め、各遺跡における発掘調査の成果に十分な検討を加えて、仙台地方における旧石器時代の「新たな」歴史を皆様にお伝えできるように努力していきたいと考えております。
※平成17年7月、『仙台市史 通史編1 原始 旧石器時代』〔改訂版〕を刊行いたしました。詳しくは、書名をクリックしてください。
Copyright©City of Sendai All Rights Reserved.