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更新日:2017年9月11日
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平成29年9月11日
このたび、私は、市民の皆さまからのご支援をいただき、第三十五代仙台市長に就任をいたしました。歴史と伝統ある仙台市政を担う重責に、身の引き締まる思いでございます。
本日、平成二十九年第三回定例会が開会されるに当たりまして、就任の挨拶と市政運営の所信の一端を申し述べ、市民の皆さま並びに議会の皆さまのご理解とご協力をお願い申し上げる次第でございます。
本日で、東日本大震災からちょうど六年半が経過いたしました。
私は、震災当時、復興大臣政務官として被災地をくまなく歩く中で、市民の皆さまが立ち上がり、行政はもとより、地域一丸となって復興を推し進める姿に触れてまいりました。震災に深く傷つきながらもふるさとを再生しようと懸命に立ち上がるこのまちの姿に、私自身、胸に熱いものがこみ上げてきたことを覚えております。奥山前市長のもとでの全庁を挙げた取り組みとともに、議員各位の並々ならぬご尽力、まさに仙台市一丸となっての着実な復興の歩みに対しまして、この場をお借りして深甚なる敬意を表します。
これからの市政運営に当たりましても、あの時の思いを忘れることなく、市民の皆さま、議員の皆さまの力を結集しながら全力で取り組めば、どんな困難であっても必ずや道は開けるものと確信いたしております。
東北地方では、人口減少・少子高齢化などの社会経済情勢が厳しさを増しております。そのような中において、これからのまちづくりは、被災された方々の心のケアをはじめとする復興の課題と併せ、教育、福祉、医療、経済、環境、地域交通やインフラ整備など、復興の先、次のステージに向けた対応にも、的確かつスピード感を持って取り組むことが重要となります。
私は、百八万市民の皆さまと手を携えながら、このような困難な時代環境に果敢にチャレンジし、このまちの未来を見据えた新たな施策を積極的に展開してまいる所存でございます。
市長としてこの「まち」のあり様を考えたとき、その主役は常に「人」であり、まちに賑わいと潤いを生み、地域の発展を支えていく原動力もまた「人」でございます。市民の命や健康、財産はもとより、本市の文化や歴史、自然など「守るべきもの」をしっかりと守りながら、その力を十分に「活かせる」まちづくりを市政運営の理念として前進してまいります。
このような認識に立ち、私のこれからのまちづくりにおける基本的な考えを申し上げます。
一つ目に、すべての市民が健やかに安心して暮らせるまちづくりを進めてまいります。
その中においても、学びの環境の整備につきましては早急に取り組みます。
次代を担う子ども達は、本市の未来に向けた希望です。その命や健全な育ちが教育の場で損なわれるようなことは決してあってはならず、子ども達が健やかに学び育つよう、教育環境を整えることは喫緊の課題です。ふるさと仙台において、過去二年半の間に三件もの自死事件が発生いたしましたことは、国会議員として「いじめ防止対策推進法」の成立に向けて奮闘した私にとりましては痛恨の極みであり、立法の理念が生かされていない現実に無念の思いを抱いておりました。
現在、市議会においていじめと体罰の防止に向けた調査特別委員会が設置されていることにも十分意を用いながら、私自身原因の究明に力を尽くすとともに、このような痛ましい事案が二度と発生しないよう、「いじめ防止条例」の制定など、再発防止に向けた取り組みを強力に推し進めます。
教員が児童・生徒一人一人の思いや悩みにしっかりと向き合い、すべての子ども達が安心して学ぶことができますよう三十五人以下学級の拡充や、仙台版奨学金制度の創設などの教育環境の整備について、これまでの、そしてこれからの議会におけるご議論等も踏まえながら検討を進めてまいります。
家庭や地域などの関係者の皆さまとも十分に連携を図りながら、本市教育行政に対する信頼回復に全力で取り組んでまいります。
また、地域福祉の充実に向けて積極的に取り組みます。
私は、多様な人々が暮らすまちにおいて、年齢や性別、障害の有無にかかわらずすべての市民が安全に安心して生活できること、さらにいずれのライフステージにおきましても健康で生きがいを感じながらいきいきと暮らせることが大切なものと考えております。その実現に向け、待機児童の解消に向けた保育所整備など子育てをしやすい環境づくり、生涯を通じた市民の健康を増進させる取り組みを進めるとともに、高齢者の元気づくりや支援ネットワークの強化など高齢者保健福祉の充実、障害を理由とする差別の解消及び障害者の自立・活躍の支援など、各般の施策を実施してまいります。
そして、復興への取り組みでございます。
復興なくして仙台の未来はございません。東部かさ上げ道路整備などの一日も早い完遂を目指すことはもとより、子ども達の心のケアや、被災者が移転された後においてのコミュニティ支援など、被災された方お一人お一人の心に寄り添いながら丁寧な対応に努めてまいります。
二つ目として、まちの魅力と活力の向上に係る取り組みを推進いたします。
本市には「杜の都」としての緑豊かな都市環境や、「学都」としての知的資源、政宗公以来多くの先達が培ってきた「伊達文化」など、誇るべき都市個性があります。これらの魅力をさらに磨き上げ、本市のブランド力の向上に挑戦してまいります。
本市の文化発信の象徴である定禅寺通や青葉山などに文化が息づく都市空間を創出し、本市中心部に新たな人の流れをつくり出すとともに、本市交通軸の根幹をなす地下鉄沿線の開発を進め、賑わいのあるまちの実現を目指します。
また、本市の活力の持続的発展に不可欠な経済の活性化と交流人口の拡大に向けて、地元企業への支援、若者をはじめとする雇用創出、起業や創業の促進などに取り組むとともに、国際会議の誘致を進め、東北各地域との観光連携を強化することなどにより、東北全体の集客力向上を推進してまいります。
最後に、私はただいま申し上げてまいりました未来に向けたまちづくりを市民の皆さまとの協働により推進いたします。
そのためにはあらゆる市民が持てる力を十分に発揮し、いきいきと活躍できる環境づくりが必須です。大きな壁に対して百八万市民が一丸となって乗り越えられますよう、また、地域によって多様化していく諸課題に対しては、共通の認識を持つコミュニティの中で、多様な市民の力が発揮されきめ細かな対応ができますよう、市民協働のさらなる取り組みを推進してまいります。
一昨年に仙台で開催されました第三回国連防災世界会議では、「仙台防災枠組」が採択され、この分野における仙台の国際的な知名度は格段に上がりました。将来の災害リスクにも備えた防災環境都市、環境を大切にする心を持った杜の都、そして誰もが元気に暮らせる都市を市民の皆さまと一緒につくり上げ、世界に発信してまいりたいと存じます。
以上、市政運営の基本的な考えについて申し述べてまいりました。
このたび私は、多くの市民の皆さまに背中を押され、愛するふるさと仙台そして東北の未来のために、国政を離れるという大きな決断をいたしました。今、この場に立ったとき、私を仙台市政へと送り出してくださった方々からの負託の重さをひしひしと感じております。この間、市内各地において様々な方々と意見交換をさせていただく中、町内会長さんをはじめ、子育て世代の方々、学生、社会人の皆さまなどから、多岐にわたる生のご意見を伺ってまいりました。市民生活に最も近い市政において対処すべき課題の幅広さ、総合性について改めて認識いたすとともに、地域によっては高齢化が進み、若者が多いとされるこの学都仙台においても、人口減少・少子高齢化という時代の波が押し寄せていることを肌で感じたところであり、これらの課題に的確に対応するために、まさに「現場主義」こそが重要なものと認識したところでございます。
また、市役所全体においても私が先頭に立って、職員一人一人が現場の課題にしっかりと向き合い、前例に囚われずに挑戦の気概をもって仕事にあたる「創例主義」へと、職員の意識刷新を図ってまいります。
私は、東日本大震災からの復興後のまちづくりを展望したとき、二元代表制の趣旨にのっとり、何よりも議会の皆さまのご議論を真摯に受け止めながら、ともに仙台の未来を輝かせるまちづくりに全力を傾注してまいる覚悟でございます。
今議会におきましては、平成二十八年度の各会計の決算認定をはじめとする議案についてご審議いただきますことから、これを十分に踏まえたうえ、来るべき新年度の予算編成に向けて取り組んでまいりたいと存じます。
最後になりますが、議員各位におかれましては、市政推進に特段のご支援と多大なるご協力を賜りますよう切にお願い申し上げ、就任に当たっての挨拶並びに所信の表明とさせていただきます。
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