カバ　仮獣舎へ移動（2025年12月26日）

八木山動物公園スタッフブログ「八木ZOO通信」

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再整備計画におけるカバの仮獣舎への移動について

八木山動物公園における再整備計画のエリアⅠ、その中の総合獣舎の建設に伴い、仮獣舎に移動する動物の中にカバがいます。
今回、カバの仮獣舎が10月下旬に完成し、無事に移動することができましたので、移動に至るまでの打ち合わせ、馴らし、実行までを紹介します。

今回、私たちは8月にサイの移動を終えており、その経験を基に打ち合わせを行い、個体移動の順番や馴らしの方法、移動までの流れを組んでいきました。

メスの「ヒタチ」は些細なことには物怖じせず好奇心旺盛な性格ですが、オスの「ベロ」は神経質で環境の変化に慣れるのに時間を要するため、警戒心を緩和する工夫が必要でした。
最初に好奇心の強い「ヒタチ」を仮カバ舎に移動して自身の臭いをつけてもらい、その後に「ヒタチ」の臭いを頼りに「ベロ」に移動してもらう作戦を取りました。
仮通路が完成した10月28日から慣らしを行い、旧寝室から通路に出る練習をしたところ、「ヒタチ」は直ぐに置き餌を食べ、翌日には通路に出てくれたので、11月1日には外プールに放飼できました。
来園者の皆様とは2か月ぶりの対面となりました。
一方、「ベロ」は新しい通路入口の餌を食べるまで3日かかり、そこから通路に出るのに更に8日もかかりました。

壁ができた旧通路で餌を食べる「ベロ」

 

餌を食べながら新しい仮通路に顔を出す「ベロ」

「ヒタチ」は仮通路の慣らしを初日で終え、旧獣舎から放飼場までスムーズに出入りができたので、後は仮カバ舎の完成を待つのみでしたが、「ベロ」はなかなか慣らしが進みませんでした。
通路の途中にある砂利場と仮カバ舎入口の新しい扉が見えていたので警戒したのでしょう。
「ヒタチ」は道中に餌を置いてそのまま食べ進んでくれましたが、「ベロ」は餌の他に、警戒心を解くためにヒタチの糞を通路に撒きました。
それでも展示場に出ることはありませんでした。
仮カバ舎の完成が近づいてきたので、「ヒタチ」を先に仮カバ舎に移動させることにしました。
仮カバ舎完成の日、「ヒタチ」を外プールに出し、夕方、通路に餌とヒタチの糞を置いて仮カバ舎に収容しました。
「ヒタチ」は仮カバ舎に興味があったのかとてもスムーズに収容できました。

仮カバ舎の温水プールで寛ぐ「ヒタチ」

「ヒタチ」を仮カバ舎に移動した夜は、「ベロ」は今までと同じ部屋に居たため「ヒタチ」が隣の部屋に居ないので、「ベロ」の外に出る意識が高まると考えていました。
翌日、「ベロ」は「ヒタチ」の臭いを追って順調に通路に出ましたが、その先の砂利場で躊躇してしまい、元の部屋まで戻ってしまったので、その日は外プール移動を諦めました。
次の日は「ヒタチ」を探す意識がより強く、いろんな場所を警戒しながらも外プールまで出てくれました。
無事、放飼場に出た「ベロ」も2か月ぶりに来園者の皆様と対面でき、広いプールでダイナミックに泳ぐ姿を私たちも嬉しく思いました。

新しい馬栓棒を確認する「ベロ」

 

砂利場を警戒しながら進む「ベロ」

夕方になり、「ベロ」を仮カバ舎に収容することにしました。
道中には「ヒタチ」の糞と餌を置きました。
「ベロ」は緊張した場面では餌を食べないので「ヒタチ」の臭いが頼りです。
順調に仮カバ舎に向かった「ベロ」ですが、仮カバ舎の新しい扉の前で立ち止まり、再び外プールに戻ってしまいました。
翌日は朝から収容を試みましたが、午前中は進展が無かったので、午後からは洞窟側のプールに出ていた「ヒタチ」を先に仮カバ舎に収容し、「ヒタチ」の存在をより強く意識させてから収容を試みました。
すると、「ヒタチ」が室内で餌を食べている姿に安心したのか、仮カバ舎内に入ってきました。
体が入りきらないので扉を閉めるまであと一歩。最後は飼育員が目の前にご馳走を用意して呼び寄せ、室内に体全体が入ったところで扉を閉めることができました。

仮カバ舎の中を伺う「ベロ」

 

仮カバ舎に入り餌を食べる「ベロ」

今回、サイに続きカバの仮獣舎への移動を安全に終えることができましたが、移動までに多くの打ち合わせを行いました。
日頃から動物をよく観察し、個体の性格を理解した上での万全な準備、そして担当班のみならず多くの職員が移動のために努力した結果であると思います。
移動は、無事終えましたが今後は仮カバ舎での生活や、各展示場への移動も控えています。
これまで以上に気を引き締めて飼育管理に努めていきたいと思います。

仮カバ舎の温水プールに入水後の「ベロ」

仮カバ舎に慣れて口を開ける「ベロ」

 

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