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更新日:2023年4月27日
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郷土料理の「焼きしそ巻き」や「松前漬け」を製造販売している有限会社東北いちばでは、これまで卸売販売が中心でしたが、社会のデジタル化への対応と新たな販路開拓を図るため、自社ECサイトを開設し、消費者に直接販売を行うことにしました。しかし、EC販売のノウハウがなく、売上も伸び悩み、社内に相談できる人材もいなかったため、今回の仙台市事業に応募。WEBマーケティングのプロである池田直樹さんからノウハウを学び、取り組みを進めたことでEC販売の月商が330%以上増加しました。今回の取り組み内容を常務取締役の柴田智基さんに伺いました。
有限会社東北いちば 常務取締役の柴田智基さん
―仙台市事業に応募しようと思ったきっかけを教えてください。
当社は、主に店舗向け卸売を中心に焼きしそ巻きの製造販売をしてきました。インターネットやSNSの普及が進む中で、数年前から、ECサイトで一般消費者向けに販売すべきではないかと考えていましたが、当社の主要顧客層が60歳代以上ということもあり、その時点では対応不要と判断しました。ですが、最近のSNSを見ていると、購入された方が当社の商品をアップいただくことが多くなってきましたし、卸売先も、実店舗より通販向けの売上が増加してきました。そこで、まずはやってみて、それで効果がなければ止めればいいと考え、2022年1月頃にECサイトを立ち上げました。
立ち上げはしてみたものの、私自身ECサイトに関する知見やノウハウもありません。独学で半年間ほど取り組んでみたものの、成果が出ませんでした。ECサイト運用にそれなりの時間を割いているものの、売上は微々たるもので、モチベーションは下がりますし、社内に相談できる相手もおらず閉塞感も募る中で、取引先の銀行の担当者さんから仙台市事業を紹介いただき、ぜひプロの意見を聞いてみたいと思って応募しました。
―プロ人材の活用に対して、当初はどのように感じていましたか?
会社で導入したことはありませんでしたし、私も詳しく知りませんでした。少なくない費用負担もありますから、本当に成果が出るのか、不安が大きかったですね。
ですが、実際にプロ人材とはどんな方なのか、どういうことが学べるのか、知りたい、面白そうだ、という気持ちもありました。
―実際にプロ人材の池田さんとお会いしてみて、いかがでしたか?
はじめてお会いする「プロ人材」ということで身構えていましたが、池田さんには威圧感もなく、私の初歩的な質問にもしっかり答えていただき、初めから好印象でした。
―プロジェクトがスタートしてからの感想を教えてください。
最初のうちは、池田さんから教わることや、いろいろやるべきことが多くて、通常業務をこなしながら、本当にできるのか不安でした。一方で、これまで、EC販売は自分一人だけで進めてきましたので、池田さんという、一緒に真剣に考えてくださる方の存在が、私にとっては何より嬉しかったです。そして、最初から、売上目標に対して、絶対達成できる、大丈夫、と言っていただけたことが励みになりました。
池田さんとは、できるだけ頻繁に打ち合わせしながらプロジェクトを進めることにしていました。毎朝、短時間ではありますが、打ち合わせがあり、その中で取り組む施策や、進捗状況を池田さんと確認しながら進めました。今改めて思い返してみると、池田さんは私のためにかなり時間を割いて、「明日はこれをやりましょう」と声をかけていただくなど、積極的なコミュニケーションを取ってくれました。だからこそ、私もここまで支援してもらえてありがたい、頑張ろうと取り組むことができました。プロ人材の方が池田さんでなければ、ここまでは到底できなかったと思います。
―売上は順調に増加してきたようですが、途中で伸び悩んだりしたことはあったのでしょうか?
施策のすべてが成功することはもちろんなくて、やってみたものの想定どおりの効果が出ないこともありましたが、池田さんを信じていましたので、粛々と進めました。もともと、1週間や2週間で即座に成果が出るものと思ってはいませんでしたが、上手くいかない時期があったとしても、プロ人材を信じて一緒に取り組み続けられるかが重要だと思います。特に、ECサイト運用については、思ったとおりの成果がすぐに出なくても、スピード感を維持しながら、継続的にPDCAを回していくことが大事ということを学びました。
―池田さんからの支援により、どのような変化がありましたか?
今回のプロジェクトでは、ECサイトでの月商100万円達成を目標に掲げてスタートしました。支援いただく前はECサイトでの売上が15万円ほどでしたが、プロジェクト開始翌月には、30万円に倍増し、4ヶ月後には65万円までに到達しました。
私個人の感想としては、やはり「やってみて良かった」に尽きます。今回のプロジェクトにより売上の増加につながったことは、企業としての成長はもちろんですが、私個人としても、大きく成長できた実感があります。もちろん、成果が出るに越したことはありませんが、仮に出なかったとしても、私にとっては実りある期間だったと思います。仕事の面はもちろんですが、人間性など仕事以外の部分でも池田さんから多くを学ばせていただきました。
―その池田さんですが、支援の途中で亡くなられました。プロジェクトには、どのような影響があったのでしょうか。
2022年の年末ぎりぎりまで、ほとんど毎日のようにオンラインミーティングをしていました。急に亡くなられたとお聞きして、本当にショックでした。思い返してみれば、池田さんの体調が優れない時もあったように思うのですが、画面越しでしたので、そこまで本当に具合が悪い状況だったとは思ってもみませんでした。
プロジェクト終了まで残り2カ月で、その時点では当初の目標には到達していませんでしたが、もともと池田さんからは、半年で月商100万円達成は厳しい目標で、達成までに必要な期間は1年だろうと提示されていました。そこに向けて池田さんと真剣に取り組みを進めてきましたので、ここで取り組みを止めるわけにはいかない、これまでの池田さんの支援に報いるためにも、最後までプロジェクトをやりきろうと決めました。
―今後、プロ人材活用を検討している企業に向けてアドバイスをいただけますか?
プロ人材活用の一番のメリットは、これまで自社内で当たり前に捉えていたことを、外部からの視点で、見直すことができる点だと思います。これまで当社では卸売が中心で利益率も低く、その改善は難しいと思っていました。その利益率の改善にEC販売は寄与するだろうと考えていましたが、実際にその成果を出すには、自社だけでは困難でした。今回、池田さんというプロ人材から支援いただき、ECサイトの構築や、そこでの販売に関する具体的なノウハウを得て、成果につなげることができましたが、それだけでなく、池田さんからは、常に消費者に響く言葉やネタを探したりする姿勢であったり、たくさんの業務を効率的に処理していく仕事の仕方など、これまで私が意識していなかったことも含め、いろいろ学ばせていただくことが多かったです。本当に池田さんに対しては、感謝の念でいっぱいです。
これからプロ人材の活用を検討される方に対しては、まずは担当者のやる気や熱量が大切だとお伝えしたいです。「仕事だから仕方ない」という気持ちだと、どんなに優れたプロ人材と一緒だとしても上手くいかないのではないでしょう。自ら面白い、新しい考えを知って挑戦していきたいと思えるなら、ぜひお勧めしたいです。ただし、時間に余裕を持ったほうがいいですね。通常業務に加えてやらなければならない業務が増えますから、それをやり抜く覚悟も必要です。
―本日は貴重なお話をありがとうございました。
(令和5年1月取材)
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