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更新日:2024年4月10日
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株式会社ケヤキ福祉は宮城県内を中心に介護・保育事業を展開し、各種施設を運営しています。事業が順調に拡大する一方、保育士や介護士などの専門職の人材確保と、そのための採用コストに課題を感じていました。そこで人材採用コンサルティングに強みを持つ株式会社IKI&IKIの小口正史さん・坂口学さんの支援を受け、自社の採用力向上に取り組みました。プロ人材の支援内容と成果について振り返っていただきます。
代表取締役 香味祐一郎さん
総務マネージャー 後藤有幸さん
採用担当 島千紘さん
株式会社IKI&IKI
小口正史さん
坂村学さん
香味社長
保育士や看護師、介護士といった専門職の人材確保が難しく、一番の課題でした。当社では保育園や介護施設を運営しており、施設を運営する上で専門職の規定の配置基準を満たす必要があります。そのため離職者が出たらすぐに欠員補充しなくてはなりませんが、勤務地によっては求人を出しても反応が薄く、応募がなければ人材紹介会社に頼らざるを得ないため、そのコストが大きな負担となっていたのです。自社の採用力を向上させて、採用活動をできるだけ内製化し、コストを削減したいという切実な思いがありました。
小口プロ
最初に課題をお聞きして、まずは喫緊に確保が必要な保育士の採用活動を行いながら、採用ノウハウの磨き上げをしていきましょうと提案しました。
香味社長
今回のプロジェクトでは、総務部の島を主担当とし、総務マネージャーの後藤がフォローする体制を採りました。島さんは、採用活動は未経験だったので、指名されたときは驚いたよね?
島さん
最初は不安しかなかったです…!でも分からないことや迷ったりすることがある度に、小口さんと坂村さんに相談すると、丁寧に教えてくださるので、安心して取り組めました。
坂村プロ
島さんは飲み込みも速く、レスポンスも良かったので、私たちも支援しがいがありました。
小口プロ
支援に入るにあたり、採用活動のポイントをレクチャーさせてもらいました。私たちが「釣り理論」と呼んでいる採用活動を体系化した考え方ですが、つまりは、「どのような人に求人情報を見てもらいたいか」というターゲットを明確化し、そのターゲットに合わせて適切な情報発信をしていく、ということです。
香味社長
私も毎回ミーティングに参加していたのですが、印象的だったのは、最初に小口さんから「一気に課題解決に導くウルトラCは、ありません」とはっきり言われたことです。実は、私はプロの支援受けると、すぐ成果につながるものだと思っていました。
小口プロ
採用活動は、課題に対して適切な対策を採ることで短期的な成果につながりやすい側面は確かにあります。ただし、今回のプロジェクトでは、ただ採用できれば良いのではなく、採用活動の内製化が目標でしたので、「釣り理論」を理解して、最終的には自社でそれを実践できる力をつけていただかなくてはなりません。そのためのノウハウ習得を支援しました。
香味社長
釣り理論を教わり、まずターゲットを明確にして、そのターゲットを狙いにいかなければいけないことが分かりました。今にして思えば、支援を受ける前までは、魚のいない釣り堀で一生懸命釣ろうとしていたんですよね…。
小口プロ
採用のターゲットをどこに設定するのかも非常に重要ですが、今回は欠員が出ていた保育士を早急に確保する必要があり、まずは求人原稿の改善に取り組んでいただきました。このポイントは、「階層ごとに分けた原稿を出す」ことと「働き手にとっての魅力となるような自社の強みを示す」ことの2点です。
島さん
以前は「保育士募集、給与〇〇万~〇〇万円」というような、保育士をひとくくりにした求人原稿でした。
小口プロ
そうではなく、例えば「未経験の有資格者」、「経験者」、「主任クラス」のように分けて求人を出し、それぞれの仕事内容とそれに合わせた給与を明示することで、「この求人は自分が探しているものだ」求職者に刺さりやすくなります。
島さん
実際に、求人原稿を改善して募集したら、すぐに応募につながりました。
坂村プロ
保育士さんが転職時に重視するのは、「自宅からの近さ」「人間関係の良さ」であることが統計データから明らかになっており、求人原稿作成の際にはこの点を意識するとよいこともお伝えしました。
小口プロ
あの時は、たまたま、ラッキーパンチが当たったようなもの。さすがに支援開始直後に成果が出るのは出来過ぎなので、「まずい、この調子ですぐにうまくいくと捉えられると、ハードルが上がってしまう」と危惧しました(笑)。
ただ、ケヤキ福祉さんにはベテランの社員さんが多く、そうして長年勤務し続けられるということは、職場環境として「働きやすい」「魅力がある」ということです。運任せの採用ではなく、求職者に「刺さる」求人原稿をつくるために、社員が何に魅力を感じて働いているか、その理由を深掘りすることで、求職者にアピールすべきことが見えてくるのでは、とご提案し、社員の皆さんへのインタビューを実施しました。
香味社長
「求職者が何を求めているか」という視点は新鮮で、目からうろこが落ちたようでした。それまでは、当社の理念や方針、求める人材像を打ち出すばかり。働きたい人の立場で求人原稿をつくることは考えてきませんでした。
島さん
事業所で実際に働いている社員の声はとても参考になりました。インタビューは坂村さんがオンラインで実施してくださり、私は一緒に同席しながらやり方を学べる貴重な機会となりました。インタビュー結果を活用した求人原稿も、最初は坂村さんが作成してくださり、それを見ながら徐々にコツをつかんでいきました。
後藤さん
これまで、求職者の方に当社を選んだ理由を尋ねるのは、採用面接の場のみでしたが、実際に、そのような場で本音は聞き出しにくいものです。今回のインタビューに私も同席して、改めて従業員目線での当社の強みや他社との違いを知ることができ、求人活動に大きなプラスとなりました。
小口プロ
次のポイントは数値の分析です。「求人情報を見られているが応募に至らない」場合と、「そもそも見られていない」場合では改善ポイントが異なるため、出した求人情報に、どれだけの人が興味を示したかの把握は重要です。そうした数値の分析をし、結果に応じて求人情報のタイトルや内容の修正を随時行いました。
島さん
求人情報を出して終わりではなく、「見られているか」「関心を持たれているか」まで分析し、ケースごとの対応を教わったことで、自分の仕事の効果も実感でき、やりがいも増しました。応募がきて採用に至ったときは本当に「やった!」とうれしくなりましたね。
坂村プロ
支援の後半では自走に向けて、介護士と看護師の求人を島さん主導で実施してもらいました。やってみていかがでしたか。
島さん
支援スタート時から一貫して、「求職者目線」の考え方を徹底的に叩き込んでいただいたので、チェックポイントはかなり分かるようになって不安は減りました。実際に自分がつくった求人原稿で応募があった時には、やっぱり嬉しかったです。
小口プロ
採用担当者が楽しく採用活動をしていけることは、求職者の熱量にも大いに関わってくるので、実はとても重要なポイントです。支援期間を通して皆さんの表情がどんどん明るくなってきたことが、私にとっての成果でした。
香味社長
島が手掛けた求人原稿で、看護も介護も最速スピードで応募がきました。要因は一つではないと思いますが、驚くほどの成果。これは決して偶然ではありません。
小口プロ
ケヤキ福祉さんの企業としての魅力が求人原稿に効果的に表現されたことで、求職者に伝わり、成果につながったことは間違いないと思います。具体的には、子どもや保育士の主体性の尊重、急な休みをカバーしあえる職場環境と制度、持ち帰り仕事削減への取り組みなど。いくら言葉巧みに求人原稿を作っても、事業内容や企業としての魅力が伴わなければ意味をなさない。利用者はもちろん、社員にもしっかり寄り添う企業努力と、採用力アップが相乗効果を生んだと思います。
香味社長
ありがとうございます!今回支援を受けるにあたり、実は、私は早期の結果だけを求めていましたが、結果は、地道なプロセスの積み重ねについてくることを実感しました。適切なアドバイスや伴走をしていただき、担当者は着実に地力を培うことができました。そのおかげで将来的に長く活用できるノウハウを手に入れられ、想定以上の成果が得られました。
後藤さん
目標であった採用コスト削減にもめどが立ちました。この支援期間に人材紹介会社を介さず採用できたのは、保育2名、介護2名、看護2名。コストは激減しました。
小口プロ
人材紹介会社の役割を否定するつもりはありませんが、経営者や社員の方が事業を通じて積み上げてきた営業利益が、採用コストに回って社員に還元できなくなってしまうのは、皆さんのせっかくの頑張りが報われず、残念ですよね。ケヤキ福祉さんにとって必要な人材を、必要な時に自社でしっかり採用できるように、今後も頑張ってください!
島さん
今回の支援を通じて、採用活動には、現場とのコミュニケーションの重要性を強く感じました。「島に頼めばいい人が入ってきてくれる」と信頼される担当者になりたいです。これからも頑張ります。
小口プロ
すでに私たちの手を離れても良い採用活動ができていて、うまくいかない場合にチェックすべき点も理解されており、自走していける未来が見えていると思います。
香味社長
ありがとうございます。企業の成長の原動力は人材であり、採用力向上によって優秀な人材が集まれば、新市場へ参入や事業拡大などにもチャレンジできます。今回の支援で得た知見を今後の成長に生かしていきます。
(令和6年1月取材)
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