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更新日:2024年11月18日
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令和6年度2回目の市長とふれあいトークは、プログラミングを通して地域人材の育成に取り組む「PCN(プログラミングクラブネットワーク)仙台」の皆さんと懇談をしました。
懇談の様子 活動見学.1
「すべてのこどもたちにプログラミングの機会を提供する」ことを理念にPCN(プログラミングクラブネットワーク)仙台として2015年6月に発足。小学校や児童養護施設、病院内学級などにも出張し、これまで延べ1万人以上に体験を提供しています。
子どもの頃の体験は将来に大きく影響を与えます。「自分で作れる」を知る体験を通してクリエイティブシンキング(創造的思考)の基礎を無意識に身につけてもらいたい。『作れる』を知ると『作る』を始めます。そして『創り出す』に至ります。そんな想いから、活動を続け、10年目に突入しました。
より身近に体験できる機会をつくるため、2019年より仙台高等専門学校と共催で小中学生を対象とするプログラミングコンテスト「みやぎプロコン」をスタート。2022年からはエリアを東北に拡大し「とうほくプロコン」へ。2023年からは仙台市、2024年はNTT東日本も共催に加わり官民学の連携が出来つつあります。子ども達はコンテストをきっかけにプログラミングやもの作りの楽しさを多く体験し「創造的思考」を体感し、大人にとってはICTの必要性を理解する場となっています。
その他、ロボットで競う「ロボットサバイバルプロジェクト」や地域の大人がICTを学び子ども達に体験教室を開催する「放課後ICT体験」など、『地域全体で子ども達を育み、途切れる事のない学びの循環が生まれる東北の構築』を目指し活動しています。
懇談に参加された方々
会長 荒木 義彦(あらき・よしひこ)氏
代表 阿部 美貴(あべ・みき)氏
学生サポーター 市川 大雅(いちかわ・たいが)氏
市長
この活動のねらいを教えてください。
荒木さん
もともと2000年から仙台市内でプログラム開発とかの会社を営んでおり、IT系のプログラマーの人材が枯渇してきていたので、プログラマーを育成しようと思い始めました。しかし、活動を続けていくほど、プログラマーを作るというよりも何か自分で課題を見つけて解決するという方向性の方が、子ども達がすごく育っていくことがわかり、途中からプログラミングを通した人材育成の基礎をつくる活動になりました。
荒木さん
市長
大雅さんが活動に参加したきっかけをおしえてください。
大雅さん
もともとものづくりやロボットなどが幼い時から好きで、たまたま自分の母が小学3年生の時にPCN仙台の活動に連れてきてくれました。そして一昨年ぐらいからアルバイトという形の学生サポーターになりました。PCN仙台はほかのプログラミング教室と違って、ハンダづけなどを行い、一からものを作ります。自分で一から作ったものが動くことに感動や楽しいという感情が芽生えました。
市長
ここに通っている子ども達の年齢層はどれぐらいなのですか。
荒木さん
年齢制限は設けていないですが、適齢期というのが大体小学校3年生ぐらいから、中学校1年生2年生です。どうしてもそのあとは受験があるのでそれぐらいの幅が多いと思います。
市長
実際に、ここに通い、自分でものづくりの面白さとかプログラミングを行い、「これができた」という、成功体験を重ねていくことで、子ども達に大きな変化はあるのでしょうか。
荒木さん
これはめちゃくちゃあります。まずは自己肯定感がすごく上がります。自分でつくれるということを知ったことで、子ども達にすごく自信がつきます。さらに、自分が目指す道っていうのがすごく広がっていきます。「勉強ができるから、この学校に行こう」とかだけではなく、「これがやりたいからその学校に進学しよう!」または、「あの学校に行くために、もうちょっと勉強を頑張ってみよう!」という力にもなっていきます。プログラミングやものづくりを通して、生きる力と自分の将来の夢が広がっていきます。
大雅さん
※もの作りの楽しさや面白さを気軽に体験してほしいという想いから、2019年より仙台高等専門学校とPCN仙台の共催で始まった小中学生対象のプログラミングコンテスト
市長
みやぎプロコンとしてスタートし、その後、東北全域にエリアを広げるとうほくプロコンができたとのことですが、この拡大のきっかけを教えてください。
荒木さん
ずっと10年ぐらい仙台市職員の方とご一緒させていただいており、2年前に、地域で困ったことを子ども達がITの力を使って解決してみようというテーマを作りました。その時に仙台市からの提案で、コロナ禍で役立つツールを募集したところ、それに対して学校からの反響が大きかったです。これを宮城県だけじゃなく、他の地域にも広げていけばもっと素晴らしい東北になるのではないかと思いました。
また、地方に行けば行くほど機会損失が多く、さっき大雅君が言ったプログラミング教室もやっぱり少なくなってきます。体験することすらできないっていうのがすごく多いので、なるべく広範囲な東北全域にという思いで広げてみました。
市長
他の地域からも参加される方々は多いのですか。
荒木さん
昨年も青森県や山形県の方からテーマ部門のテーマをもらいました。するとそのテーマをもらった地域からたくさんの作品が出始め、体験参加者が増えていきます。
市長
今、学校のGIGAスクール化により、子ども達に1台1台端末が用意されるようになりました。そういう意味では子ども達のIT化が進んでいます。
そういう中で、親御さんも含めて、すごく注目度が高いと思うのですけど、この活動を通してどういうようなことを目標とされているのか教えてください。
阿部さん
私自身は、目指すものは何でもいいと思っています。荒木さんが言っていましたが、プログラマーを育てたいわけではないので、いろいろと夢中になるもの、夢や、体験をして楽しいと思ったことを続けられる場所をどんどん各地にふやしていきたいなと思います。また、大雅くんみたいな子が、どんどん成長していく姿を近くで見られたら嬉しいです。
荒木さん
小さいときに自分で作れるということを知るとなんでも作るようになっていきます。その後に何が始まるかというと、作るって文字が変わって創造するになっていきます。今までは正解に辿り着くことが大切でした。でも、今はAIがあるので、正解はAIが勝手に導いてくれる。将来、子ども達が飛び込む社会っていうのはもうAIが真っただ中なので、自分で学んだことを自分で形にできる人、そして無いところに課題を見つけることが出来ることが重要になっていきます。そのときのために、小さいときに引き出しをたくさん身に付けてもらいたいのです。
そして、いくつになっても学びはずっと続いていくんだよ、楽しいことなんだよっていうことを、小さいころから根付かしてあげたいというのが私の想いです。
阿部さん
※仙台グローバルスタートアップキャンパス(SGSC):経済局スタートアップ支援課の事業であり、令和5年度に仙台・東北の学生や若者を対象として実施した、グローバルに活躍する人材を育成するプログラム。東北各地から300人の応募があり、Stage1には110人が、Stage2・Stage3には選抜された20人が参加し、最先端のアントレプレナーシップ(起業家精神)教育や、海外先進地域への派遣などを通して、新たな事業を起こす創造力や挑戦する力を養った。
市長
大雅くんは、今般、仙台市が始めたグローバルスタートアップキャンパス(以下、SGSC)に参加をされてシリコンバレーまで行ったと聞いています。ご自分で何をどういうふうに解決するために何をしたいと考えているのですか。
大雅さん
何で行きたかったのかっていうと、まずやりたいことを見つけたかったっていうのが一番です。SGSCに参加する前は、将来に対して消極的であまり何も考えていませんでした。SGSCへの参加を通して、ビジネスのことはもちろん、いろいろと学ばせてもらいましたが、中でもいろいろな人と関われたことがすごく大きかったと思っています。海外で活躍したりしている人もいて、実際自分も海外行きたいなとか、こういう大学で自分がやりたいことをやりたいなと思うようになり、将来を積極的に考えるようになりました。
市長
まだお若いのにみんなすごいですね、先ほど参加していた小学生も、もうゲームを作りたいと言っていました。ちゃんと将来を見据えることができているっていうのはすごいことだなと思いました。
大雅さんは、将来どこに何をどういうふうにしたいのですか。
大雅さん
そうですね、ロケット開発というか、宇宙工学とかに進みたいなと思っています。実は宇宙工学を志すようになった理由は、SGSCでの経験が大きな要因なのです。というのも、SGSCでボストンにいった際に、マサチューセッツ工科大学に訪問させていただく機会をいただきました。実際に研究者の方々が私達に楽しく、「こういうことできるんだよ」と教えている姿が印象的で、たまたまそれと同時に宇宙も好きだったので、世界の最前線で自分の興味分野に深く関わりたいと思うようになりました。じゃあアメリカ行ってできるのではないかって、そういうふうなイメージで興味を持ち始めました。
市長
素晴らしいですね。
荒木さん
子どもの頃に、自らチャレンジをすることを習慣化していくことが望ましい。
ワークショップ始まる前に必ず約束することがあり、「やっていいですか?」って聞いたら駄目よって約束しています。「自分がやっていい」と思ったらやっちゃってね、と伝えています。
また大人と触れ合う機会も多い方が良いですね。
大雅さん
この活動をきっかけに様々な立場の人と交流することが、格段に増えたと思います。
市長
お話伺っていると楽しくて、うまくいっている感じが満載なのですが、いろいろ苦労したこともおありなのではないですか。
阿部さん
活動を支えてくれる、協力してくれる人を探したり、費用の面だったりで苦労しています。
荒木さん
阿部さんと同じですが…
いまではNTT東日本・仙台市・仙台高専が共催になってくれるなど、多くの方々にご協力いただけるようになりました。しかしながら運営にまつわる「人」「費用」の確保は、永遠のテーマになっています。
また大人の方々にご理解いただくのも大変です。勉強や運動と違って、プログラミングは子どもの頃に学校で習っていませんので…
市長
いろいろと苦労がありながら、でも夢を持って取り組んでいただいているし、子ども達のなにより喜んでいる顔って言うのはやはり元気をもらえますね。
荒木さん
そうですね。活動の中で元気をもらっています。
最近では大学生や高校生にも手伝ってもらっています。つい何日か前も東北大学の学生がデザインしたワークショップを一緒に開催しました。そうやってだんだんと、多くの世代に絡んでいただけるようになったのも、私としても非常に嬉しいですね。
市長
いろいろお話伺って参りましたけれども、最後に1つ、一人一人に伺いたいと思います。これからのこの活動に対する思いや期待を聞かせていただきたいです。
阿部さん
今の課題っていうのもあるのですけど、今後も地域の人々が一丸となって、子ども達の活動を支えていく体制ができたらいいなと期待しています。
大雅さん
期待ですね。多分、荒木さん、阿部さんとは違う目線になるのですけど、僕が期待したいのは自分の次の世代に高校生の目線として、高校生だからこそある価値観とか視点などを駆使しながら教えていけたらなと思います。ものづくり楽しさを教えてもらったので、次の世代に渡せるように頑張りたいと思います。
荒木さん
循環型の学び、途切れない学びを作りたいなと思っています。小学校ではこれをやる、中学校ではこれをやる、高校生はこれやるっていうふうにブロックで決めるのではなく、循環した、一貫した学びの地域や環境を作りたいなと考えています。そのためには、すべての人が何か出来ることがあると思うのです。みんなが出来ることを少しずつ出しあって地域全体で子ども達を育んでいきたいです。日本全体とは言いませんので、そんな東北であってほしいなというのが私の思いです。
市長
プログラミングを超えて今お話いただいたと理解してよろしいですか。
荒木さん
もちろんです。プログラミングは世の中をちょっとだけ便利するツールに過ぎないと思っています。僕は子ども達が何か作品を作るときに、プログラミングを全く使わなくても別にいいのだよっていうふうによく話します。プログラミングがきっかけっていうのが一番わかりやすいと思うので、今プログラミングを教えていますが、私が一番やりたいことは、子ども達が自分で好きなことを見つけて、地域全体でそれを育んでいく環境づくりをやりたいと思っています。これが私の一番です。
市長
どうもありがとうございます。たくさんお話伺いました。新しい技術を使って、社会課題の解決に向かうというこの世の中で、そういう取り組みも重要で、子どものうちからいろんな学びを、今、教えていただいているわけですけども、そればかりじゃなく、循環社会の大切さ、地域がいかに子ども達をきちんと見守って育てていくかっていうことまで含めて、いいお話を聞かせていただきました。
これからの活動に期待をさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。
活動見学 活動参加者との集合写真
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