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更新日:2016年9月20日
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未来のある、これから大きな希望を持って人生を生きていったであろう若い命が失われることになったのは、私としても大変残念でありますし、何とかこれを防ぐことができなかったのかという思いでいっぱいです。何よりも、ご本人はもとより、ご遺族の方々に対して、心から哀悼の気持ちをお伝えしたい。ご遺族の受けられた衝撃は非常に大きいと思います。
仙台市教育委員会ならびに学校が、このたびのことを防ぐことができなかったことについて、課題の指摘が、仙台市いじめ問題専門委員会からもなされています。それらをしっかりと取り組んで、再発防止に向けて歩み出していくことが、教育委員会にも求められていると思いますし、私もそのことに向けて力を尽くしていきたいと思っています。私としても大変ショックなことであり、極めて残念なことだと思っています。
今回の事案について知った経緯ですが、当該生徒の事故の直後に、教育委員会からこのような事案が発生したと報告を受けています。
その当時、第一報としては、まだ亡くなられてはいませんので、まず医療面を十分に尽くしていただくことをお話ししました。その前提の上で、学校や遺族など関係の方々に対して、教育委員会として十分なサポートをお願いしたいと伝えました。
事案からそれほど遠くない時期に、調査を行っていく必要があると、教育委員会に話をした記憶はあります。いじめ防止対策推進法ができた時に、その仕組みについても教育委員会とも議論を進めて、専門委員会を設置することについても、すでに決まっていることです。これは重大な事案であって、調査が必要な案件だと、教育委員会も思っていましたし、私もそのような認識だと話し合った記憶があります。
今後の再発防止を考えると、公表が再発防止に向けた一つの大きな動きを作っていくための重要な状況であることについて、私も十分に認識しています。ただ一方で、教育委員会からは、ご遺族は非常に大きな衝撃を持っておられて、公表については非常に慎重なお考えであることについて同時に報告を聞いていました。ご遺族の気持ちが落ち着かれるまでに、だいぶ時間はかかるにしても、その間、専門委員会として調査を進め、それらの結果も踏まえながら、ご遺族が公表に向けてお気持ちを整えていただけるように、引き続き教育委員会としても、ご遺族とのお話し合いを丁寧に進めてほしいと伝えました。
全ての関係者が共通の認識を持ち、そこからいろいろな反省や課題をくみ取って、将来の再発防止に向けて、さらに取り組みを進めていく。その際に、心一つに取り組んでいくためには、公表はとても大事なことだと思っています。これは、私が教育長のときから、そのように思っています。しかし、私が教育長の時にも、いじめの事案ではありませんが、生徒が関わる事案で、関係する生徒のご家族から「今の時点での公表は、家族としては非常に耐えがたい」ことがあり、発表の時期を遅らせたという経験はございます。
今回、長い時間がかかって、その間適切な説明に至らなかった部分については、もちろん当該学校の生徒たちや保護者、地域の方々等にとって申し訳ない部分があったと認識しています。しかし一方では、ご遺族のお気持ちも十分に斟酌(しんしゃく)しなければならないところがあるとも私自身思っており、正しいか正しくないかというよりは、一つのやむを得ない経過であったと受け止めています。
正確な事実を知る権利は、当然子どもたちにも、保護者の方にも、地域の方にもあるわけです。しかし、今回の事案への対応の中で、いつ、どのようにその事実をお知らせできるかについて、教育委員会もさまざまに努力を重ねたと思っています。私自身もその経過については承知しています。われわれとして、今回、そこをうまく乗り越える手立てについて、具体的な案を得るには至らなかった。決して、これが万全の策であるとは思えないところはありますが、ご遺族のお気持ちを中心に考える中で、今回のような対応として進めてきたということです。
生徒の方は、将来に向けていろいろな夢もあったと思いますし、ご自分でなさりたいことも多くあったと思います。そういう中で、夢と希望ある未来を自らの手で閉ざすことは、本当にあってはならないことであると同時に、ご本人にとって無念であると思います。
その無念の思いを、いかに無駄にしないようにしていくか、これは非常に大事だと思います。われわれも教育委員会も十分に考えて、決してそのことを忘れてはいけないと思います。今回この期間で、そのことを果たせなかった。もう少し早い時期に何とかならなかったのか、というお気持ちは十分理解しますが、教育委員会としても時間的にはここまでかからざるを得なかったと思っています。
遺族としては、全く公表を望んでいないというご意向を口にされた時期もあったと聞いていますが、私としては、これだけの重大な事案は、教育委員会にどういう責任があるか、学校現場としてどこに課題があったかを今後に向けて十分に共有し、二度とこういう悲しい事態を繰り返さないためにも、明らかにすべきであるという基本は持っておりました。ただその公表時期については、一番心に大きく痛手を受けられたであろうご遺族の心が、そのことに向かわれることを前提にしないと、難しいのではないかと思っていました。
公表は、いつかの時点では必ずしていくべきものだと思います。ただし、ご遺族の方もそのことに向き合っていただく必要があると思いますので、公表に向けてご遺族のお気持ちが向き合えるだけの、ご理解が進んでいくのを、ご一緒に歩んでいく形だと思いました。
教育委員会のこれまでの事案としては、義務教育関係の教員の不祥事や、生徒が関係した事項とか、さまざまな事案があります。
原則的に仙台市教育委員会として、事案の調査を行い、その中で処分等を決定して、県教育委員会に報告しながら実証するということだと思います。私が教育長の時にも、第一報の段階では市教育委員会として進めていくことが多かったので、今回も初動としてはそういう認識だったと思います。
事案として、公表が非常に長期化したことを考えると、特に子どものいじめによる自死ですので、県内、仙台市以外の学校に対する注意の喚起や、再発防止策の徹底などを連携して広く進めるという意味では、もう少し早く県教育委員会にお知らせすることが、今後必要だと思います。
県教育委員会との関係をどのように整理していたのかは、私も直接教育委員会の判断を聞いていませんので、分からないところです。しかし、何らかの時点で情報の共有を図ることは必要だったのではないかと思います。
そのことについて、私の方から尋ねたことはありませんでしたので、私としては報告していたかについては承知していませんでした。
そうです。
この事案、またこれに限らず学校現場で起きるさまざまな事案について、生徒への影響や、いろいろな影響等を考えて、公表の時期が事案が発生した日からずれることはあります。そういう配慮は、未成年である児童や生徒が対象となる事案の場合、また今回のように、ご遺族も非常に大きな衝撃を受けられている場合には起こり得ることだと思います。
一方、学校現場で起こったことが未来永劫(えいごう)、地域や他の学校や保護者の方々、生徒自身にも、知らされないでしまうことは、学校現場のより良い環境の向上と学校教員の態勢の向上の意味でも望ましくありませんので、常に公表していく。そして課題を共有しながら、学校現場の取り組みの改善に図っていくことが必要である思いは、私も教育委員会も変わらないと思っています。
本件についての学校の対応は、すでに専門委員会の調査等においても、いくつかの課題を指摘されているところです。私自身は、その答申書を精査しつつ読ませていただいている段階ですが、学校の課題については、教育長が直接ご遺族にも謝罪をしたと聞いており、課題は大きかったと思っています。
処分については、現状ではまだ教育委員会から報告は聞いていません。いずれ教育委員会として、処分に当たる判断をしていくのではないかと思っています。
具体的に学校に対して、どういう手だてに入っているかは、私としては承知していません。教育委員会としては何らかのことを、必要と思われることについて取り組んでいると思います。
具体的に、学校でより踏み込んだ形で対応する、説明会をするとは聞いていません。仙台市立学校全てにおいて、今回仙台市の市立学校でこういう事案があったことに基づいて、いじめが許されないことや、命を大切にすることについて、学校からあらためて子どもたちに話をしていくとは聞いています。どこかの学校において、より具体の話をするとは聞いていません。
子どもたちの中に動揺が起きているのは、おそらくそうではないかと思います。それに向けては、教育委員会も含め、いろいろな形で子どもたちのケアを十分にできるように、いろいろな手立てを考え、取り組んでいくことだと思います。
当該校で、そういう日程が入っているとは聞いていません。
基本的には、起こったことについて、知る権利はあると思います。ただ、現時点の状況の中で、そのことについて踏み込んでお知らせできる状況を整えきれていない、ということだと思います。
それが可能になる形で取り組んでいければ、その方向を目指すのが望ましいと思います。ただ、ご遺族の気持ちやいろいろなことがありますので、それがいつの時期になるかについて、現時点では見通せないということだと思います。
遺族の皆さまからは、踏み込んだ公表については控えてほしいお考えだと聞いています。そこは一つのお約束ですので、私どもとして、それを無視することは難しいと思います。
ご遺族のお気持ちが一つだと思います。また、ご遺族の気持ちとあわせて、当該校の生徒たちへの影響も考えるということだと思います。
情報として明確になっていない部分がありますので、特に地域の方や当該校の保護者の皆さまの中には、より詳しく知ることができれば、自分たちも何らかの事態の改善といいますか、地域として、保護者としてできることがあるのではないか、という大変もどかしい思いを感じている方も多いのではないかと思います。
ある種そういう要素もあることは、私もそう感じる部分はあります。しかし、今できる中で、取り組みは進めていかなくてはいけないと思います。また専門委員会で、学校における課題、教育委員会として今後さらに取り組むべきこと等について、多数ご提言も出ています。まずは、できることをしっかりと早期に取り組んでいくことが大事だと思います。
事案の重要性と学校の責任、学校としてもう少し踏み込んだ手立てが、慎重な配慮のうえでとられるべきではなかったのかという専門委員会のご見解がございます。
それらを考えると、具体にどういう状況がどこにというところまで、1対1の対応で処分を認識しているわけではありませんが、専門委員会の状況判断の中で、学校の管理監督責任について、全くないことはないと思います。
ご遺族とは、さまざまな形で市教委とお話する機会があったと聞いています。専門委員会のヒアリングもありましたし、専門委員会の答申書に、ご意見をいただく場面もあったと思います。
そういう中で、ご遺族の一切公表しないでほしいというこれまでのご意向の中から、公表はどの程度のものになるかはともかく、未来の再発防止に向けて必要な一つのステップであるということを、いろいろな形でご理解いただくように教育委員会としては働きかけてきた。それに対するご遺族のお気持ちもその都度伺いながら、今日を迎えたと聞いていますので、そうした関係性が、今後も続いていくと思います。
われわれとしては、今回の公表で、学校としてどういう状況であるかをご報告する中で、ご遺族としてさらにお考えを深めていただける要素があれば、それを提示していくことだと思います。それに対して、ご遺族の側からいろいろなご意見があるかもしれません。
その辺は、具体的にはまだ想定の話です。特に将来に向けて、われわれが決めているものでもありません。ご遺族と教育委員会が、この段階を持って関係が全くなくなるとか、相互に話し合いや連絡をしなくなるということではないと思います。
今の時点で、具体的な見通しを持つには至っていません。
現時点では、ご遺族からは「専門委員会の答申書については理解したので、再調査の希望はない」という旨の文書をいただいています。私も、それは一つのお気持ちとして受け止めつつ、しっかりと文書を精査して、検証の上、判断していきたいと思っています。再調査について、私自身としての結論は得ていません。
具体の事案を知ることによって、より具体にその事案と自分が向き合うことはあると思います。
一方で、今回の報告でも、例えば行われたいじめがどういうものであったか、どういう形でどんな種類のいじめがあったが故に、当該生徒の方が心を痛めて、いろいろ保護者に訴え、また学校のアンケートにも記入があったかなどがあります。ある種の限界はあると思いますが、日常どこの学校でも簡単に起こりそうなことであるが故に、今与えられている情報の中で子どもたちに考えてもらって、それらを子どもたちに見つめ合ってもらう取り組みは、現状の中で不可能なことではないと思います。そこはしっかりと取り組んでいくべきだし、教育委員会にもそのことを望みたいと思います。
そこまで踏み込めない状況の中で、やらざるを得ない限界があると思います。それでは不十分な面が多々あるというご指摘で、私もそれが十全であるとは思えませんが、分かりうる情報の中で子どもたちに考えてもらう、学校としてもそこに取り組んでもらうことが、今できる最善のことではないかと思います。
具体的なカウンセリングやケアが、どういう場面でどう行われるかは、いろいろな想定ができると思います。その場として、でき得る限りのことを対応していくことで取り組んでほしいと思います。
例えば、当該のお子さんとその保護者の方とご一緒なのか、あるいはそのお子さんが、どういう不安を、どういう状況で持っていらっしゃるのか、それらの具体の中で、でき得る最大限のことを考えて対応していく。なかなか一般論でお答えしにくい部分もありますが、そういうことだと思います。
教員一人の問題ではないと思います。仙台市のいじめ対応の基本は、あくまでも教員個人が担任であったとしても、一人で取り組めばいいのではなくて、学校という組織の中で、十分な対応をしていくことが基本です。学校の組織対応の力の問題、課題ではないかと思っています。
具体的には、各担任から学年、そして管理職と上がっていく中での情報の共有とか、特にいじめ問題に対する非常に深い理解も必要だと思います。
そうした報告は受けていません。
専門委員会の答申書などを精査している段階ですが、今の時点で専門委員会としても、刑事告発にあたる要素がある、という所見はないと受け止めています。
私としても精査をして検討したいと思いますが、現時点ではそういう印象は得ていません。
事案が重大であればあるほど、その事実を公表し、共有していくことが基本である考えを私は持っていますし、教育委員会もそうだと思います。ただ今回の場合は、今お話ししたような経緯で、今日に至っているわけです。今後、そういう事案が起こらないように努めるのが、何よりも私どもと教育委員会の責務である点を確認した上ですが、公表が前提であるのは間違いないと思います。その中で、生徒本人やご遺族といった、事案と非常に密接な関連をもつ方々のお気持ちを勘案しながら進めていくということで、公表しないことが前提であるとは考えていません。
これでよかったかどうかということは、誰にとっても難しいことであると思います。それぞれ事案の処理の限界を生み出しつつ、ここに至っていると思います。あるいは今後さらに検証すれば、われわれの力不足の面もあったかもしれない。その可能性も否定できないと思います。
一つは学校外との連携ということで、学校外のさまざまな子どもたちを支援していきたい、困っている保護者や生徒も含めて情報提供したり、寄り添っていきたいという活動をしているNPOや、教育委員会外の相談機関も複数あります。積極的にそれらの情報を提供していくのは大変重要だとあらためて思っています。学校でさまざまな対応の力をつけていくのは、基本中の基本ではありますが、学校でうまくいかなかったらそこが終わりではなくて、それ以外にも助けを求められる場所はたくさんあるし、いろいろな手だてがあるということを、子どもや保護者が知っていくことは非常に大事だと思います。あらためて広がりを作る、連携の力を高めることについて、今後取り組んでいく必要があると思っています。
もう一点、教員の多忙化の解消も大変大きな課題だと思っています。総合教育会議などでも、教員の多忙化によって、子どもと向き合うという、肝心の教師の果たすべき役割の中心部分が十分に果たされていないのではないかというご意見は、複数いただいているところです。具体的にどういう形でとは、教育委員会と今後話し合いを詰めていかなければいけないと思います。予算も必要な話ですが、そこも踏み込んで、仙台市として教員の多忙化解消、特に子どもと向き合う時間をどう確保するかを、より具体に積極的に案を練っていかなければいけないと思っています。
いじめを関係者の中に限定的に閉じ込めるのではなくて、広く出していく。例えば学級の中だけではなくて学年、学年だけではなくて学校全体という形で広げることによって、そこに多数の関係者の視点が入り、いじめの解消に向けた取り組みが複合化されて、効果を挙げやすくなるという考えではないかと思います。それは私としても評価ができる視点だと思います。今回の答申書の中でも、情報が閉じられていたのが対応の限界を引き起こした指摘もありますので、そのことはこれから十分に配慮すべき項目の一つだと受け止めます。
そこまで踏み込んだ意見の交換は、教育委員会としていません。あらためて基本方針に、何かわれわれが見落としたものはないか。われわれがこれまで作ってきたマニュアルの中でも十分でなかった部分も指摘されていますので、一から総点検をするのは今後の大きな責務だと思います。
仙台市長 奥山 恵美子
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