<相談内容>
シラスに混入していた異物(カニと思われるもの)は何であるか教えてほしい。
<回答内容>
外観からカニの仲間であることは明らかであったが、その種類までは特定できなかった。
<備考>
シラスの漁場は沿岸にあるため様々な浮遊物が存在し、混入する可能性が高い。上記の例以外にも、ハリセンボンのトゲと思われるものがシラスに混入していた事例があった(下図)。
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<相談内容>
タコのスライスを購入した消費者から、タコの肉に異物が刺さっているとのクレームがあった。何であるか調べてほしい。
<回答内容>
- 実体顕微鏡で観察したところ、タコの表面にたわしの毛のような異物が刺さっているのを確認した(下図)。
- 針状で茶褐色の金属光沢があるという特徴から、「ニホンウロコムシ」の剛毛と判明した。
- 剛毛は石灰質、キチン質等でできているため、食べる際に口腔内を傷つける危険性がある。
<備考>
- 同様の事例は、タコだけでなくイカにもよく見られる。
- タコやイカは光るものに集まる習性があるため、ニホンウロコムシの虫体と接触した際に抜けた剛毛が付着したか、あるいは漁獲時に付着したことが考えられる。
<参照>
原色動物大図鑑第IV巻(岡田要・内田亨 他共著、北隆館)
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<相談内容>
アサリを茹でたところ、異物が混入していた。何であるか教えてほしい。
<回答内容>
- 当該品は殻長2.5cm程度の貝であり、外観から、「スカシガイ科スカシガイ」と判断された(下図)。
- 北海道南部から南に広く分布し、潮間帯下部以下の岩礁に生息する。
- ナメクジのような動物体は大きく、貝殻は背中にのっている。
- 貝殻の真ん中の穴からは水管を伸ばす。
<参照>
ポケット図鑑「日本の貝」(小菅貞男 編著、成美堂出版)
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<相談内容>
メカジキの身をミンチにしたところ、下図のような異物が出てきた。何であるか調べてほしい。
<回答内容>
- 異物を取り出すと、白色および紫色の繊維状のものが混在していた。
- 焼いてみると、白色の煙を出し、溶けて小さくなった。
- 20分以上煮ても柔らかくならず、色は退色や白濁等せず、鮮明になった。
- 以上より、メカジキを漁獲した際に、釣り糸の一部が食い込んで混入したものと考えられる。
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<相談内容>
イカのお造りに虫のようなものが付着しているので、調べてほしい。
<回答内容>
- 当該品には飾り用の菊が添えられており、その菊にも黒い虫のようなものが付着していた。
- 実態顕微鏡で観察したところ、イカおよび菊に付着していたのは、「ワタアブラムシ」と判明した。
- ワタアブラムシは菊に寄生することが知られており、菊からイカに移ったものと考えられる。
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<相談内容>
消費者から、「アサリを味噌汁にしたところ白い虫のようなものが出てきた」とのクレームがあった。何であるか、調べてほしい。
<回答内容>
- 当該品は、長さ約1.5cmで白色、虫のような外観であった。
- 実体顕微鏡による観察だけでは判別しにくかったため、生のアサリを実際に解剖し観察したところ、「晶体」という消化酵素を含む器官ではないかと考えられた。
- 晶体を取り出して茹でたところ当該品と一致したため、当該品は晶体であることが推定された。
<参照>
魚介類の寄生虫ハンドブック 第2巻(東京都)
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<相談内容>
冷凍ボイル甘エビ(バルク品)から異物が出てきたと販売先のスーパーから苦情があった。何であるか、調べてほしい。
<回答内容>
- 全長(ツノのような部分を含めて)は約8cmで、一見クワガタムシのようであった。
- メスで切断してみると、中空になっていた。
- スライドグラス上で加熱したところ、融解することはなく、また石油製品特有の臭いもなかった。
- 外観的特徴から、エイ等の卵殻と考えられる。
<参照>
魚類解剖大図鑑(落合明 編、緑書房)
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