<相談内容>
自分で釣ったアイナメをさばいたところ、筋肉中に黒っぽい水泡のようなものがあった。これは寄生虫であるのか教えてほしい。
<回答内容>
- アイナメを開き、黒い部分を筋肉から切り出して半分に切ったところ、中から透明な粘膜で覆われた3~4mm程度の白っぽい虫体が出てきた。
- 実体顕微鏡での観察により、寄生虫の口の形状がゆりの花に似ていることが確認され、「リリアトレマ属」の「メタセルカリア」(被嚢(ひのう)幼虫)と判定された。
- 黒く見えた部分は、虫体に沈着したメラニン色素であると思われる。
- 人体に寄生する恐れはない。
<参照>
食品の苦情Q&A(東京都)
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<相談内容>
本マグロをさばいていたところ、筋肉中に白いスジ状の異物が埋まっていた。マグロの組織ではないようだが、何であるか調べてほしい。
<回答内容>
- 肉眼での観察から、当該品には白いスジ状のものの他に、黒色の微小な点状または細い線状の病変部位が確認された。
- 染色して組織を観察したところ、寄生虫の存在が認められた。
- 白いスジ状のもの自体は虫体ではなく、寄生虫により形成されたシスト(嚢胞(のうほう))とその周辺の筋繊維が崩壊した後の修復過程として形成された、いわゆる肉芽腫と考えられる。
- 微細な黒色病変の中にも寄生虫の胞子体が確認されたことから、これも本病変の一形態であると思われる。
- 原因となった寄生虫(原虫)としては、「粘液胞子虫」の多殻目に属するものが考えられる。
(協力:仙台市食肉衛生検査所)
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<相談内容>
購入したカツオから、寄生虫が出てきた。何であるか、人体に有害なのか教えてほしい。
<回答内容>
- 肉眼および実体顕微鏡での観察から、四吻目(しふんもく)の条虫である、「テンタクラリア属」の幼虫と判定された。
- 白い米粒状で、頭部に4本(写真では2本に見えるが)の吻(くちばし)があるのが特徴。
- 吻(くちばし)の表面には小鉤がらせん状に並んでおり、組織内に食い込んでいるような場合は摘出しにくい。
- 人体に寄生することはないので、食べても害はない。
- サバ等にも寄生する。
<参照>
魚介類の寄生虫ハンドブック第1巻(東京都)
仙台市ホームページ「食中毒情報;アニサキス[魚介類等]」
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<相談内容>
養殖タイの肛門から寄生虫らしきものが飛び出している。何であるか調べてほしい。
<回答内容>
- 虫体(上図)をピンセットで取り出そうとしたころ、強い抵抗があり、鉤状の部分が腸管に食い込んでいた。
- 摘出した寄生虫は、乳白色で体長20mm、体幅1~2mm、円筒形であることから、吻(くちばし)・頸(くび)・胴の3部からなる鉤頭(こうとう)虫類と判断された。
- 頸部が長いという特徴から、「ロンギコラム・パグロソミ」と考えられる。
<備考>
- 当該寄生虫は、成虫はタイ類の消化管、未熟虫は種々の海産魚類に寄生する。
- 人体に対する病害性の報告はない。
<参照>
魚介類の寄生虫ハンドブック第2巻(東京都市場衛生検査所)
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<相談内容>
赤魚に寄生虫らしきものが付着している。何であるか調べてほしい。
<回答内容>
- 当該品の筋肉中に、線虫類と思われる渦巻状の異物を肉眼で確認した。
- 異物を取り出して実体顕微鏡で観察したところ、腸管と思われる組織が確認されたが、調理済みのものであるため詳細はわからなかった。
- 寄生虫の種類としては、「アニサキス類」等の線虫類が考えられる。
<備考>
- アニサキス類であれば、人体に寄生する恐れがある。
- -20℃で24時間以上冷却すれば死滅する。
- 中心部まで十分加熱して食べれば問題ない。
<参照>
魚介類の寄生虫ハンドブック第1巻(東京都市場衛生検査所)
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<相談内容>
アンコウのお腹によく見られるツブツブは何であるか、教えてほしい。
<回答内容>
- 白いツブツブは膜内に入っており、大きさは0.5mm~1.5mmで不定形であった。
- 白いツブツブを潰して光学顕微鏡で観察したところ、シスト(嚢胞(のうほう))らしきものが確認された。
- これより当該品は、微胞子虫の寄生によりシストが形成されたものと考えられる。
<参照>
東京都市場衛生検査所ホームページ「苦情相談事例集(水産)」(外部サイトへリンク)
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<相談内容>
毛ガニを茹でて食べようとしたところ、寄生虫らしきものが出てきた。
<回答内容>
- 異物を毛ガニから取り出してみると、長さは約15cmであった。
- 実体顕微鏡での観察から、「ハリガネムシ」という寄生虫の仲間であることが判明した。
- 人体に害はない。
- カニへの寄生は珍しく、日本でもこれまでほとんど報告がない。
<協力>
独立行政法人水産総合研究センター東北区水産研究所
東京大学大学院農学生命科学研究科水圏生物科学専攻魚病研究室
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