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更新日:2023年5月23日
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事業者 | 株式会社みやちゅう(外部サイトへリンク) 所在地: (本社)宮城県仙台市若林区沖野6-29-37 (仙台空港工場・事務所)宮城県岩沼市空港南5-3-4 |
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採択 |
IT導入補助金 2021低感染リスク型ビジネス枠(D類型) |
既存事業 | 建築・土木・農業・園芸資材の製造、販売、輸出入及びこれに付帯する工事の施工 融雪剤・スリップ防止剤等の製造、販売、輸出入 ペット用品の製造、販売及び輸出入 インターネット等を利用した通信販売 上記に付帯関連する一切の業務 |
IT導入補助金活用内容 | 導入したITツール:
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IT導入支援事業者 | リコージャパン株式会社 所在地:東京都港区芝3-8-2 芝公園ファーストビル (宮城支社)仙台市青葉区五橋1-5-3 アーバンネット五橋ビル |
近年の中小企業を取り巻く経営環境は厳しく、大企業並みの法令への対応が求められています。建築資材や園芸用品、ペット用品などの袋詰め(パッケージング)等の事業を行う株式会社みやちゅうでは、様々な法令に対応しつつ、業務効率化による働き方改革を実現するためIT導入補助金を活用しました。
同社の代表取締役・菊池圭吾さんに、ITツール導入のきっかけや、導入後の効果などについてお聞きしました。
─ はじめに、御社のこれまでの事業を教えてください。
株式会社みやちゅうは、昭和52年に建築骨材である砂や砂利などを手作業でパッケージングする事業からスタートしました。現在は建築資材に加え、園芸用品やペット用品などのパッケージングや大手企業商品の委託製造、オリジナル商品の開発も積極的に行っています。
─ IT導入補助金を活用したきっかけを教えてください。
補助金を活用し始めたのはここ2年くらいですね。補助金申請は揃える書類も多くてハードルが高く、難しいものだと思っていました。最初からIT導入補助金を使おうと思っていたわけではなく、きっかけは中小企業でも働き方改革による時間外労働の上限規制、電子帳簿保存法やインボイス制度など、大手企業並みの法令対応を求められていることでした。「中小企業だからここまではしなくても良い」というわけにはいかないので、避けて通れないのなら早めに対策しようと動きだしました。
それに、うちの会社は従業員とその家族までで構成されていると思っていて、関わるみんなを幸せにしてあげたいというのが会社の理念です。残業で家族との時間が圧迫される状況は会社の思うところとはちょっと違うなと。現状を改善するためには業務効率化、生産性を高める必要があると考えました。
─ 具体的にはどのような対策をしたのですか。
まずは働き方改革に対応する必要があったので、段階を分けて業務効率化に取り組みました。第1段階は残業をどうやって抑制するか考え、工場業務見直し・無駄の排除を行いました。第2段階で事務効率化のためITツールを導入し、社内情報を一元管理するデータベースを「kintone(キントーン)」で作成・運用開始しました。いま取り組んでいる最終段階では、電子ホワイトボードを事務所や工場に設置し、どこでもタイムリーに最新情報を確認できる環境を整えています。
─ たいへん画期的ですね!どんな変化が見られましたか。
会社が小さい頃は紙書類で在庫管理できましたが、従業員の増員や扱う製品・材料が500品目以上と膨大になってきたことで、手作業や紙の書類だけで管理を行うのは厳しいと感じ、数え直しやチェック漏れを防ぐ仕組みづくりが必要だったんです。
現在は製造記録を入力すると、自動で原料や製品の在庫数量が反映されますし、これから何をいくつ作らないといけないかも一覧で確認できます。さらに、出荷時の製品や伝票の写真をデータベースに添付することで、問い合わせがあったときも品目や数量をすぐ電話口で対応できるので助かっています。以前は事務所から工場に走っていって出荷記録を確認していたので、ずいぶん手間を減らせました。
─ 業務を効率化するために総合的に取り組まれたのですね。IT導入補助金はどの部分に活用されたのですか。
第2段階のITツールの導入のうち、電子帳簿保存法に対応する請求書管理ソフト「eValue V Air(イーバリュー)」、年末調整を電子化する「オフィスステーション年末調整」の導入で活用しました。
─ 請求書管理ソフトの導入で得られた効果について教えてください。
受注連絡はファクスやメールなど、さまざま。今までは紙の書類とデータをバラバラに管理していましたが、請求書管理ソフトとスキャナーを連携させることで、受注後はデータで情報を一元管理できるようになりました。
また、以前は請求書をエクセルで作成し、各自のパソコンにデータが保存されていたので、誰がいつ何をどこまで対応したか進捗状況が把握しにくいのも課題でした。現在は受発注情報が自動で経理まで共有され、進捗状況も一目瞭然になりました。
顧客の締め日ごとに丸一日かかっていた請求書の確認業務も半日に縮減できましたし、日々の業務の延長で電子帳簿保存法にも対応できるので、税務署の監査があっても特別な準備はいらないんです。
─ 残業時間の削減効果はどのくらいありましたか。
大幅に減らすことができました。平成30年時点で月平均残業時間が38時間だったので、まずは20時間を目標にしました。部署による差もあるので、達成できる人、できない人がいましたが、継続していると徐々に効果が表れ、令和4年には月平均1時間まで削減することができました。
ただ、残業が減る=収入減になります。生活に直結する問題ですから、残業がなくなった時間を使って、減った収入を穴埋めするための副業をする従業員もいるかもしれません。それではプライベートの時間を確保するために残業時間を削減した意味がないので、削減した残業手当を使って基本給を上げました。
残業時間、つまり工場の稼働時間は減少していますが、業務効率化によって生産力や売上は減少していないので会社としては新たな負担なく、基本給を上げることができました。
利益も賃金も減らさず、業務効率化によって今後の成長につなげられる余力を持てたのはよかったと感じています。
─ それは本当に素晴らしいですね!年末調整用のソフトの方はどのように活用されていますか。
今年の年末調整から運用を開始し、紙に書いていたものをスマホで入力できるようになります。業務効率化も目的のひとつですが、従業員にお金の仕組みや税金の使われ方も学んでほしいので導入しました。会社から離れた後はさすがに守れないので、退職後や老後でもお金の不安が少しでもなくなるように、いまのうちから興味・知識を持って備えておいてもらいたいと思っています。税金や社会保険、年金などお金のことが学べる社内向けマネー講座を行っているので、これもその一環ともいえますね。
─ 「従業員を守る」を徹底されているんですね。実際に、従業員の皆さんも業務効率化の効果を感じているんでしょうか。
受注管理や在庫もリアルタイムで管理できますし、従業員から「紙の書類が減りましたね」「見やすくなりました」という声も聞いていて、効果を実感しているようです。データベースの機能は自分たちで簡単にカスタマイズできるので、運用を都度見直しながら軌道修正して進めています。
─運用を見直しながら、データでの管理ができるのはいいですね。しかし、システム障害や停電が心配になりませんか。
システム障害や停電のときに業務をすべて停止するわけにはいかないので、ITツールを全く使わないで業務を行う日を作っています。アナログでのやり方を忘れないようにと、最近入社した従業員がITツールなしでも業務ができるようBCP(事業継続計画)も意識しています。
─ 自分たちでカスタマイズできるということでしたが、他にも重宝している機能や活用法はありますか。
機械装置の点検簿や健康観察簿も記録できるんですよ。
フォークリフトや消火器など、法定点検やメンテナンスの履歴を写真付きで記録しています。次に不具合が起きたときに、すぐに見返せるし、不具合の周期と対策がわかる。そうすると結果的に機械が長持ちするので長期的なコストが抑えられます。
健康観察は、体調や飲酒運転防止のアルコールチェックを紙面からデータでの管理に移行しました。従業員同士で確認し、相手が承認しないと記録されない仕組みにして、チェック機能が働くようになりました。
また、運転免許証や資格の有効期限も更新忘れ防止にリマインダー機能を活用しています。有効期限が近づくと通知が届くので免許や資格の更新忘れ対策としています。
そんなに細かいことまでと思われるかもしれませんが、一度法令違反や不祥事などが起こると操業停止や廃業などに追い込まれて従業員を路頭に迷わせる可能性も高いですし、働いてくれているみんなを困らせてしまうのは避けたいですよね。先ほどの税務署の監査への対応もそうですが、企業としてやるべきことをしっかりやることが企業防衛に繋がり、会社を守ることが従業員を守るための仕組みづくりだと思っています。
─ 労務環境整備やコンプライアンスへの対応などが重視される世の中ですが、戦略&ITツール活用で「社員を守る」という理念を大切にする姿に感銘を受けました。本日は、貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。
リコージャパン株式会社は、さまざまな業種における経営課題や業務課題の解決を支援するため、マルチベンダーとして各種ソリューション(課題解決のためのシステム・サービス)を提供しており、IT導入補助金の「IT導入支援事業者」に登録されており、今回紹介した株式会社みやちゅうの取り組みも支援されました。
同社のIT導入支援事業者としての取り組みについて、担当者の方にお話しを伺いました。詳しくは、リコージャパン株式会社のインタビューページをご覧ください。
仙台市では、新型コロナウイルス感染症の影響を乗り越えるために、国の補助金などを活用し、前向きな投資や事業活動を実施する市内事業者に対し、その取り組みを後押しする『仙台市地域産業応援金』を支給しています。
今般の原油価格高騰等の影響を踏まえ、新たに「原油価格・物価高騰等加算」を新設し、支給額を増額してます。詳しくは地域産業応援金のページをご覧ください。
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