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更新日:2025年1月20日
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八木山動物公園スタッフブログ「八木ZOO通信」
2024年12月20日に、ホッキョクグマのポーラが2頭の仔を出産しました。
出産までの道のりと、出産時の様子についてお話ししたいと思います。
過去3回出産経験があるポーラ。
いずれも仔は成育せず、死産や衰弱、不慮の事故による死亡と残念な結果となってしまいました。
それでも、ポーラが子育てに臨む様子を目の当たりにして、「次こそはきっと育ててくれる!」という希望を持ち、2024年の1月に再度カイとポーラをペアリングすることにしました。
2024年5月、カイとポーラの間に交尾行動が見られ、同じ時期にポーラに人工授精を実施しました。
ポーラが過去に妊娠した年と同じように、6月くらいから食べ物の嗜好性が変化し、普段は食べない鶏ガラをよく食べるようになりました。
夏から秋にかけて徐々に給餌量を増やすと、残すことなくもりもり食べていました。
2024年10月上旬のポーラ
10月下旬から、朝の寝起きが悪くなり、展示場でも横になって寝る様子が見られました。
2024年10月下旬のポーラ
11月からは展示を中止し、ポーラのペースに合わせながら飼育しました。
ハズバンダリートレーニングで採血を実施し、性ホルモンの値を測定したり、行動を観察したりすることで出産する可能性の高い時期は12月上旬~中旬くらいと想定しました。
野生のホッキョクグマは、出産前に雪の吹き溜まりに巣穴を掘り、その中で赤ちゃんを産み、産後は何も食べずに3か月間くらい巣穴の中で子育てをします。
当園でも、巣穴と同じように静かで薄暗い環境の産室を作り、11月下旬からはポーラに産室の中で過ごしてもらい、出産に備えました。
ポーラは産室の中で非常に落ち着いて過ごしていましたが、12月中旬を過ぎてもなかなか出産せず、飼育員たちは毎日ソワソワしていました。
12月19日からポーラが仰向けで寝転がる様子が頻繁に観察されるようになりました。
これは、以前にも見たことのある出産前の兆候でした。
2024年12月19日のポーラ
さらに、普段は夜間10~14時間も睡眠をとり日中も横になったり伏せたりして休息していたポーラが、12月20日の早朝から一睡もしておらず、午後になるとウロウロしたりウッドチップを掘り出す行動が見られるようになりました。
12月21日の朝早くに監視カメラの映像を確認してみると、赤ちゃんの元気な鳴き声を確認することができました。
鳴き声を聞いた瞬間、嬉しくて涙が出てきました。
ポーラが赤ちゃんを抱きかかえているので、赤ちゃんの姿をすぐに確認することはできませんでしたが、鳴き声を頼りに観察を始めると1頭ではなく、2頭の鳴き声が聞こえてきました。
映像を見返してみると、12月20日の21時07分に1頭目、22時36分に2頭目を出産していたことが分かりました。
1頭目の出産は、何度もいきみ、息を荒くしながら、座った姿勢で出産しました。
1頭目の出産時の姿勢
赤ちゃんをすぐに口でくわえ、伏せた状態で体をなめるとすぐに赤ちゃんが元気な声で鳴きました。
2頭目の出産は、1頭目がポーラの腕の下で元気に鳴く中、座った状態で出産しました。
2頭目も元気に動き、鳴いていました。
2頭目出産直後
さらに、12月21日の早朝から定期的に授乳していることも確認でき、一安心しました。
授乳以外の時間は、ポーラは常に2頭を優しく抱きかかえていました。
赤ちゃんを抱くポーラ
12月22日には、ポーラが水を飲みに行った時に初めて2頭の元気な姿を確認することができました。
2頭の元気な姿を確認
ホッキョクグマの赤ちゃんは600g~700g程度と小さく未熟な状態で産まれてきます。
未熟だからこそ、大きく育つことが難しい動物です。
ポーラが出産して嬉しく思いましたが、飼育員や獣医師たちはこの日から緊張の毎日が始まりました。
次回は、出産後の観察の様子についてお話ししたいと思います。
お問い合わせ
仙台市建設局 八木山動物公園 飼育展示課
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ファクス:022-229-3159