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更新日:2024年2月15日
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報告書全文(PDF:1,335KB)/概要版(PDF:400KB)
1 外部監査の種類
地方自治法第252条の37第1項に基づく包括外部監査
2 特定の事件を選定した理由
仙台市は2018年度を終了年度とする仙台市実施計画を策定実施し、2019-2020年度を対象年度とする仙台市実施計画を策定したばかりである。当該仙台市実施計画の重点的な取り組みの中で、「4 人をひきつけ躍動する仙台の魅力と活力づくりー(3)未来への活力を創る産業の育成・誘致」を掲げている。これは、仙台市実施計画のもととなった「仙台市政策重点化方針2020」及び「仙台市総合計画」の中においても重点的な取り組み事項として取り上げられている。
加えて仙台市は「日本一起業しやすいまち」を目指し、新規開業数の増加など現状一定の成果を挙げているが、今後、東北の人口減少予測などに鑑みると、新たな産業成長・地域課題解決の種を見つけ、それを撒き、育てていくことはなお重要である。
そのため、ある程度成果が見られた現時点において、関連施策について有効性・効率性・経済性の観点から検討することは、今後当該施策のさらなる効果的な実施や改善のため意義があると判断し、市の未来を考える上でも有用と考えた。
(総論)
1.事業実施における指標の明確化(結果)
今回監査の対象とした事業のうち、60%(30件のうち18件)の施策・事業に明確な成果指標がないとの回答がなされた。
確かに、創業支援などの経済振興の施策の場合は、直接の支出効果を把握することが困難な施策が多いかもしれないが、間接的・部分的な補助効果を示すと考えられる指標を調査・把握し、できるだけ補助効果を示す指標を明確にすることは不可能ではない。
一般的に、どんな小さな金額であっても、事業や施策に税金を投入するにあたっては、費用対効果を重視する姿勢を市民は期待している。
仮に、効果を把握できる定量的な指標が存在しない場合でも、個々の事業単位で間接的・部分的な補助効果を示すと考えられる指標を定めた上で、事業を行い、その効果を説明する責任が市にはある。
2.公募型プロポーザル方式の効果的な実施方法(意見)
公募型プロポーザル方式により委託業務の受託者を決定している中で、公告の時期が遅い、公告期間が短いなど、公告期間の設定に疑問を感じるケースが見受けられた。また、公募型プロポーザルを行う際には特に考慮されなければならない公平性、透明性及び競争性の向上などの要求事項を重視していないように見受けられるケースもあった。さらに、公正性及び透明性を高めるための情報提供の姿勢も不足していると感じた。
市にはガイドラインの設定はあるものの、実際の運用は当該ガイドラインの考えから外れたものとなっている点が検出されたことから、担当者への趣旨の浸透という点では甚だ不十分である。市は、いま一度職員に当該ガイドラインを周知徹底し、趣旨に沿った運用が行われるように措置すべきである。また、措置の実効性を担保するために自己点検も行うべきである。
3.効果的な事業実施のための人的体制づくり(意見)
実際に今回監査を行う過程で、たくさんの職員と話す機会があったが、創業関連事業、経済振興事業の多くは、担当職員の熱い熱意・熱量に支えられて、献身的に実施されている様子が見て取れた。だが、担当者に質問してみると、「行うべき業務が多くて手が回っていない状況もある」との回答も聞こえてきた。
このような熱意・熱量に依存した運用では、過重労働を引き起こす懸念が生じる。いまのところ短期的には熱意に支えられ効果的に遂行されているものの、仮に長期的に過重労働が放置されてしまうと労働効率や生産性が低下してしまい、結果的に市の業務遂行が非効率になってしまうのではないかとの懸念も同時に感じた。特に創業関連事業のイベントの大半は、下半期に集中しており、その結果業務量の季節ごとの偏りも生じている。下半期集中は、年度内完結という市側の予算の制約もあり生じているものであり、率直に言って、市役所による年度予算の論理、人事施策の論理であると考えられるが、必ずしも被支援者本位の施策とはなっていないのではないか、事業によっては期間の制約から十分に成果が残せないまま終了してしまっているように感じるものもあった。
このような状況を排除するために、市は、組織的に業務量を把握し、業務と人員のバランス、期間ごとの業務量のバランスを重視した運営を行う必要がある。市には、実際に最前線で働いている職員の業務環境を整え、業務が効果的に実施される人的体制づくりを行う責任がある。仮に短期間で十分な成果を残せないのであれば、複数年にわたりしっかりと支援するような施策設計についても検討し、その結果、もし業務量のバランスの期間的な偏りが解消されるならば、人員の業務偏重のみならず、効果的・持続的な支援を行う観点からも弾力的な運営につながることになるであろう。
4.効果的な事業実施のための土壌づくり(意見)
市の事業には、『人材教育、育成』関連施策が、他の施策に比べて少数である様子が見て取れる。
市は税金を有効に市政に使用する責任があるため、まずは創業支援、起業支援を行うための直接的な支援を重視する姿勢が必要なのは当然であるが、一方で、創業及び起業に関する中長期的な視点が不足しているように感じた。
創業家・起業家を増やすため、すなわち創業しよう起業しようとするプレイヤー自体のパイをより広げるためには、まずは起業家の裾野を広げることも肝要である。
市には、将来にわたり持続的な経済発展を行うため、起業家の裾野を広げるような教育や啓蒙などの視点をより重視することを期待する。
(各論)※指摘事項のみ抜粋
1.公益財団法人仙台市産業振興事業団運営費補助金
項目 | 区分 |
報告書 ページ |
内容 | 改善措置 |
---|---|---|---|---|
補助金交付に係る実績報告について | 指摘1 | 32 | 事業結果報告について要綱に違反した運用が続いている。実態に合わせて違反とならないように措置すべきである。 | |
四半期ごとの状況報告について | 指摘2 | 32 | 要綱所定の報告書という形での報告はなされていない。また、報告タイミングも要綱どおりにはなっていない。 要綱に準拠した運用となるよう、報告書による報告を適時に実施する必要がある。 |
令和3年1月13日公表(PDF:147KB) |
項目 | 区分 |
報告書 ページ |
内容 | 改善措置 |
---|---|---|---|---|
指定管理者として運営している施設の修繕費について | 指摘3 | 34 | 事業団が、指定管理者として業者との間で、空調修繕工事にかかる契約を締結しているが、市の資産にかかる重要な修繕契約について、事業団が契約の主体となることは望ましくない。原則通り市が業者と直接工事契約を締結するべきである。 | |
領収証控えの管理について | 指摘4 | 34 | 領収証の控えを残していない。運用を改善すべきである。 | 令和3年1月13日公表(PDF:147KB) |
領収証の連番管理及び管理簿の作成について | 指摘5 | 35 | 領収証の管理方法について効果的な管理が行われておらずこれも改善すべきである。領収証の控えを保管する管理簿を作成し、連番管理を厳密に行う必要がある。 | 令和3年1月13日公表(PDF:147KB) |
項目 | 区分 |
報告書 ページ |
内容 | 改善措置 |
---|---|---|---|---|
公募型プロポーザル方式における説明責任のあり方について | 指摘6 | 58 | 平成30年度に、委託業者を選定し、平成30年5月に委託契約を締結したものの、その後にイベント運営等の委託を追加する形で増額する変更契約を締結している。この際公募は行われず、委託者からの見積りに基づく契約の変更という形で変更契約がなされている。 一般的に、このような契約変更は、公募型プロポーザル方式の趣旨から外れている可能性が高い。受託候補者特定における公正性や透明性の観点から、市には、経緯を説明する責任があるが、この点説明責任は果たされておらず社会通念に照らして妥当とは言えない。 |
令和2年10月14日公表(PDF:136KB) |
項目 | 区分 |
報告書 ページ |
内容 | 改善措置 |
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実績報告書に関する書類の不足について | 指摘7 | 67 | 実績報告書及び支出内容について、証拠書類に基づき確認したところ、必要な書類は提出されておらず、要領に準拠した書類が不足している事項が1件検出された。 適切に事業を実施する前提として、適切な実施報告を受ける必要がある。証拠書類の提出を漏れなく確認するべきである。 |
令和2年10月14日公表(PDF:136KB) |
項目 | 区分 |
報告書 ページ |
内容 | 改善措置 |
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入居企業からの提出書類の不備について | 指摘8 | 94 | 一連の資料を確認したところ、入居企業からの申請書に誤りがある状態のまま保管されているものがあった。補助金支給の正確性を確保するために、審査は適切に行う必要がある。その前提として、書き損じのある書類については、是正を求めるべきであるし、事後的に有効に検証するためにも是正された状態で保管すべきである。 | 令和3年4月7日公表(PDF:132KB) |
要綱違反について(事業化報告書の提出日) | 指摘9 | 94 | 要綱において提出期限は毎会計年度終了後20日以内と規定されているが、全ての企業で事業年度終了後20日を超過している状態であった。更に言及すると20日を大幅に超過して、2カ月超の提出となっているものもあり、要綱が順守されておらず不当である。 補助効果の検証を適時適切に行うため、違反の状態は改善する必要がある。 |
令和3年4月7日公表(PDF:132KB) |
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