ページID:73793
更新日:2024年12月9日
ここから本文です。
報告書全文(PDF:2,130KB) / 概要版(PDF:265KB)
地方自治法(昭和22年法律第67号)第252条の37第1項の規定に基づく包括外部監査である。
市では、仙台市総合計画として、令和3年に「仙台市基本計画(令和3年度~12年度)」及び「仙台市実施計画(令和3年度~5年度)」を策定している。基本計画は、「挑戦を続ける、新たな杜の都へ ―“The Greenest City” SENDAI―」をまちづくりの理念に掲げ、4つの目指す都市の姿を掲げている。
さらに上記の理念に基づき8つのプロジェクトを掲げている
【1】杜と水の都プロジェクト
【2】防災環境都市プロジェクト
【3】心の伴走プロジェクト
【4】地域協働プロジェクト
【5】笑顔咲く子どもプロジェクト
【6】ライフデザインプロジェクト
【7】TOHOKU未来プロジェクト
【8】都心創生プロジェクト
市では、「仙台市総合計画」を上位計画とし、関連する他の計画との整合を図りながら、子どもの育ちと子育て支援に関わる事業に体系的に取り組んでおり、次世代育成支援対策推進法に基づく「市町村整備計画」及び子ども・子育て支援法に基づく「市町村子ども・子育て支援事業計画」として、仙台市すこやか子育てプラン2020(令和2年度~6年度)を策定している。
市は、少子化の進行や共働き家庭の増加、地域におけるつながりの希薄化等、社会状況の変化によって、子どもの育ちや子育て家庭の生活にさまざまな影響が生じており、次代を担う子どもたちがすこやかに成長し、子育て家庭が孤立せず、安心して子どもを産み育てることができるまちづくりが求められていると認識し、その実現に向けて、仙台市すこやか子育てプラン2020における基本理念と基本的な視点を次のとおり定め、子どもと子育て家庭のための施策の推進に取り組むとしている。
仙台市すこやか子育てプラン2020は計画実施中ではあるものの、令和7年度からの新しい計画の策定に向け仙台市子ども・子育て会議で協議が始まっており、令和5年度から「子供未来局」から「こども若者局」へ切り替わったタイミングでもあることから、これまでの計画の進捗を振り返るに適した時期といえる。
仙台市における子育て支援に関する各施策は、前述の仙台市すこやか子育てプラン2020の3つの基本的な視点に基づいて展開しており、加えて新型コロナウイルス感染症対策事業を実施している。また、幼児教育・保育施設、児童、母子の保健福祉施設等を所管し、施設の管理運営を行っている。予算規模は、令和4年度当初予算において752億円となっており、このうち当初予算の約90%にあたる672億円を妊娠から出産・子育て期に渡る切れ目のない支援の充実に割り振っており、市民が安心して妊娠、出産、子育てができるよう、支援の強化を図っている。
また、これら子育て事業に関する事項はいわゆる「骨太方針2023」において、少子化対策・こども政策の抜本的な強化が打ち出されるなど、世間に注目されている項目である。仙台市の合計特殊出生率は、宮城県全体、全国平均よりも低く、平成25年は1.31だったものが、令和4年には1.10と下落傾向にある。出生数も平成25年には9,706人だったが、令和4年には7,026人と25%近く減少しているなど取り巻く環境には厳しいものがある。上記で記載した予算の割り振りについても、少子化対策を前提とすると納得がいく。包括外部監査のテーマとして、過去に保育事業の運営管理について(平成23年度)取り上げたことがあるものの、子育て全般に対する事業に関して取り上げたことは無く、また平成23年度からも相当の期間が経過している。
このような中、市民に身近なこども若者局に関する事業を取り上げ、これら事業の財務事務が、関係法規等に則り合規的に、かつ、時代の要請を反映した経済性・効率性・有効性を十分に追求して執行されているかについて監査を実施することは有用であると判断した。
(総論)
業務を実施するに当たっては、適正に実施されるための仕組み、いわゆる内部統制の整備運用が求められる。市のホームページで公表されている、「不適切な事務処理事例集(令和4年度)」には、子供未来局の事例として、「保育施設等に対する給付費(賃借料加算)の支給誤り」、「幼保連携型認定こども園の認可誤り」、「保育施設等に対する給付費の支給誤り」、「保育施設等に対する補助金返還の未請求」が記載されており、これら誤りの要因は、制度理解や法令等根拠の確認不足、マニュアル・チェックシートの不備、確認体制の不備等が挙げられている。
今回の監査においても、チェックリストは整備されているものの、適切な運用がなされていなかったことから補助金額の誤りにつながった事項、チェックリストを整備したが利用していない、マニュアルを整備したがマニュアル通りに記載をしていないといった事項が検出されている。
不適切な事務処理事例の要因を解決するために業務マニュアルの整備・見直しをはじめとする再発防止策が講じられているが、当該再発防止策の確実な実行が望まれる。また、一度整備したマニュアル等は法改正など状況の変化に合わせて適時に修正していくことが必要である。
(各論)※指摘事項のみ抜粋
項目 | 区分 | 報告書ページ | 内容 | 改善措置 |
---|---|---|---|---|
仙台市里帰り等妊産婦健康診査・新生児聴覚検査補助金交付申請書のチェック体制について | 指摘 | 53 |
仙台市里帰り等妊産婦健康診査・新生児聴覚検査補助金交付申請書には、申請資料の添付漏れを確認するための、区の担当者が利用する「送付時」のチェック欄と本庁の担当者が利用する「確認時」の確認のためのチェック欄があるが、「確認時」のチェック欄に、チェック証跡がないものがあった。 チェック欄が埋まっていなくとも、書類のチェックは適切になされ、マニュアルに記載された確認もなされたとのことだが、形式が整っていないと、その主張は、第三者からは確認が取ることができない。チェックリストが準備されているにもかかわらず、利用されていないことは、事故があった際に、見逃す可能性があり、実際、チェック漏れにより補助金の額が誤った事案が、他の課で生じている(65ページ参照)。 そのため、内部統制を有効に機能させるためにも、例えば、決裁者が、整備したチェック欄が利用されているかどうかといった確認を行うといった体制にする必要がある。 |
令和6年12月9日公表(PDF:101KB) |
項目 | 区分 | 報告書ページ | 内容 | 改善措置 |
---|---|---|---|---|
指定管理者に対するモニタリングに係る評価シートの記載について | 指摘 | 61 |
児童館を運営する指定管理者に対して実施するモニタリング及び評価において、内部資料であるモニタリングシートに特記事項(加点又は減点評価する理由)の記載がある場合は、外部に公表される評価シートの「所見」欄にその内容を必ず記載すると「評価マニュアル」に定められているのにもかかわらず、当該事項が記載されておらず、評価シートの利用者にとって加点又は減点評価した理由が分からないものとなっている。 評価シートの利用者にとって、配点の根拠が明確になるよう、「評価マニュアル」に従って、モニタリングシートに記載された特記事項を評価シートに必ず記載すべきである。 |
令和6年12月9日公表(PDF:88KB) |
放課後児童クラブを運営する民間事業者に支給する補助金の加算誤りについて | 指摘 | 66 |
放課後児童健全育成事業を運営する事業者のうち、一定の要件を満たした事業者に対して補助金を上乗せして支給している。その要件のうち、保護者負担の基準額を15,000円以下とする要件を満たしていないのにもかかわらず、これを見逃し補助金を加算して支給していた。 事業者から提出された申請書類の内容についてチェックシートを使用してチェックすることとしていたが、加算要件を満たしていないことを見逃した事業者については、チェックシートにチェックマークが付されていない、1次検討者が疑問点があることの備忘として「?」マークを残していたが、次にチェックする課内職員へ適切に引き継がれず、チェック機能が働かなかったため、加算要件を見過ごす結果となった。 チェックシートをより実効性があるものとすべく、チェックを行った場合は必ずチェックマークを付すことはもちろん、現状チェックマークを付すだけとなっている箇所について加算要件となる項目の金額や面積を記載するなど様式を見直すことが必要である。加えて、チェックシートの意義を課内職員で共有し、チェック時に疑義が生じた場合は上位者へ適時適切に報告するなど課内のコミュニケーションを充実させるとともに十分なチェック体制を整備されたい。 また、補助金を申請する際に事業者が参照する「仙台市放課後児童健全育成事業に関する手引き」に補助金の交付対象事業に係る収入は非課税取引であることを明記されたい。 |
令和6年12月9日公表(PDF:120KB) |
項目 | 区分 | 報告書ページ | 内容 | 改善措置 |
---|---|---|---|---|
根拠法令等の存在確認について | 指摘 | 98 |
事業概要に記載されている根拠法令等については、その存在や実施期間等を正しく確認し、記載すべきであり、存在しないもの若しくは実施期間を超過したもの等については、記載してはならない。例年記載されている根拠法令等であるから継続して記載していたと考えるが、根拠法令等だからこそ、確認を怠ってはならない。根拠法令等は市職員が事業を実施するにあたり依るべきものであり、事業実施の前提となるものであるため、根拠法令等についての存在や実施期間については、十分な確認作業をすべきである。 |
|
定例での実地指導の実施について | 指摘 | 102 | 施設型給付費の対象となる幼稚園に対し、現状では宮城県が施設監査を行っているが、市では確認監査のうち定例での実施指導を行っていない。この点、宮城県との調整がなされていないものであるが、子ども・子育て支援法第14条、第38条より、市が確認監査の実施主体であり、上記通達では都道府県及び市区町村において相互に連携して対応し、被監査側の負担軽減に努め、効果的な指導監査を行うべき旨が記載されていることから、適切に対応すべきである。 |
PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。Adobe Readerをダウンロードしてください。Adobe Readerのダウンロードページ
お問い合わせ
Copyright©City of Sendai All Rights Reserved.