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更新日:2023年10月18日
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報告書全文(PDF:2,516KB) / 概要版(PDF:606KB)
地方自治法第252条の37第1項の規定に基づく包括外部監査
市では、仙台市総合計画として、令和3年に「仙台市基本計画(令和3年度~12年度)」及び「仙台市実施計画(令和3年度~5年度)」を策定している。基本計画は、「挑戦を続ける、新たな杜の都へ ―“The Greenest City” SENDAI―」をまちづくりの理念に掲げ、4つの目指すべき都市の姿を掲げている。
さらに上記の理念に基づき8つのプロジェクトを掲げている
【1】杜と水の都プロジェクト
【2】防災環境都市プロジェクト
【3】心の伴走プロジェクト
【4】地域協働プロジェクト
【5】笑顔咲く子どもプロジェクト
【6】ライフデザインプロジェクト
【7】TOHOKU未来プロジェクト
【8】都心創生プロジェクト
建設局においては、4つの目標、8つのプロジェクトに様々な観点で関与しているが、「市政運営」に関連し、「公共施設経営推進」「公共インフラ災害対策」の下に、下水道事業についても、総合計画の基本理念実現に向け、取り組んでいる。下水道事業に関しては、平成28年度から令和7年度に係る仙台市下水道マスタープランが策定され、現在、仙台市下水道事業中期経営計画(後期)令和3年度~令和7年度の実施期間となっており、これまでの計画の進捗を振り返るのに適した時期といえる。
市における下水道事業は、公共下水道、地域下水道、農業集落排水施設、合併処理浄化槽の4種の事業を所管しており、汚水処理人口普及率は、平成26年度末で99.5%に達している。下水道に関する固定資産は6,000億円を超えており(令和2年度末)、効率的かつ確実に下水道機能を維持していく必要がある。また、予算規模は、令和2年度決算において、収益的収支のうち収入344億円、支出331億円、資本的収支のうち収入174億円、支出308億円といった規模になっている。
また、これら下水道事業に関する事項は、近年の気象状況に伴う雨水処理状況等が市民生活に直結する身近なテーマであることから、市民の関心が高い領域といえる。包括外部監査のテーマとして、過去に下水道が取り上げられたのが平成16年度と相当の期間取り上げられていない。
このような中、市民に身近な下水道事業を取り上げ、これら事業の財務事務が、関係法規等に則り合規的に、かつ、時代の要請を反映した経済性・効率性・有効性を十分に追求して執行されているかについて監査を実施することは有用であると判断した。
(総論)
今回、下水道事業を対象とするに当たり、市で発生する汚水の約70%を処理している南蒲生浄化センターを視察した。南蒲生浄化センターは、東日本大震災で甚大な被害を受けており、震災時の状況、復旧状況等について説明を受けた。南蒲生浄化センターでは、復旧にあたり施設をコンパクトにし、震災前よりも少ない用地で済む工夫がなされ、空いたスペースでは、太陽光発電設備、小水力発電設備を設置している。さらに、消化ガス発電設備事業を実施予定であったり、浄化センターのスペースを使い津波監視のためのドローンが運用されていたりと、進んだ取り組みをおこなっているとの説明を受けた。利用可能な用地はまだ空いており、益々の利活用がなされることを期待している。
一方、仙台駅周辺等の浸水対策はより進めて欲しく、市内各地での浸水対策や老朽化した設備への対策等は、今後も引き続き投資が必要な分野である。市の財政を取り巻く環境は楽観視できるものでもなく、人口動向も今後は減少へ転じる見込みである。そのため、下水道事業においても、中長期的な計画を立て、効果的な運用を図る必要があり、中期経営計画等の進捗について質問等を実施した。市ではリスクマネジメントの考え方を計画に採用し、投資判断基準にも活用している。しかし、リスクを十分に抑えられるだけの投資計画となっているかどうか、投資の結果、計画通りにリスクが抑え込めたのかが市民にとって分かりにくいものとなっている。今後、老朽化リスクである管路リスク、設備リスクに係る対策に投資が必要になることが想定されており、将来を見据えて、浸水・耐震リスクとバランスを取りながら抑えていくことが期待される。実施中の長期シミュレーションも活用し、料金体系の見直しを視野にいれ、中長期の経営戦略を策定し、市民が快適に、安心して暮らせる土台が維持できるよう努めて欲しい。
業務を実施するに当たっては、適正に実施されるための仕組み、いわゆる内部統制の構築が求められる。市の事務の誤りは、市のホームページで公表されており、令和4年度も複数件公表されている。主な原因は、知識不足やマニュアルの不備とのことである。下水道事業においても、令和元年度から令和3年度の消費税の申告誤りについて、令和4年度に公表されている。今回の監査の過程でも、建設仮勘定の本勘定への振替漏れや随意契約とする理由の適用誤りが検出された。
今回の監査の対象とした部局等においても、アセットマネジメントに関連する業務を中心に業務フロー図が整備されている業務がある一方、下水道使用料等の滞納処分等、業務フロー図化や業務マニュアルの整備が十分になされていない業務もあり、そのような業務では事務誤りが生じるリスクを一定水準以下に抑え、業務の効率的かつ効果的な遂行が可能となる環境が整備されていないと言える。また、下水道事業の滞納処分処理等、専門知識が必要な業務もあり、担当者に専門知識の蓄積が求められる。現状は、滞納整理の問題を解決するなど成果を上げているが、属人的な対応での成果であり、人の異動で体制が崩れかねない。
業務を適正かつ効率的、効果的に実施するために業務フロー図、業務マニュアル等が定められ、二重チェックや上司の承認を取るなどの内部統制が構築されることが必要であり、今回検出された事項以外にも不足している業務がないか確認し改善を図ることが望まれる。
(各論)※指摘事項のみ抜粋
項目 | 区分 | 報告書ページ | 内容 | 改善措置 |
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南蒲生浄化センター廃油処理業務委託の随意契約理由について | 指摘 | 66 | 南蒲生浄化センターの廃油処理業務委託(契約期間 令和3年7月30日~令和3年8月31日 契約金額 123千円)について、特命随意契約を行っているが、見積執行伺に特命とする理由が記載されていなかった。本件は、予定価格の設定時には複数事業者から参考見積を入手していることから、本契約において特命随意契約とする合理的な理由はない。本来であれば、少額随意契約扱いとして複数事業者から見積書を入手して契約先を決定する必要があったため是正されたい。 | 令和5年10月18日公表(PDF:107KB) |
項目 | 区分 | 報告書ページ | 内容 | 改善措置 |
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建設仮勘定の本勘定への振替漏れについて | 指摘 | 73 |
令和3年度末の建設仮勘定のうち、工事が完了しているにもかかわらず、単に本勘定への振替漏れにより滞留となっている建設仮勘定が、合計7件、合計金額にして約1億6千万円検出された。 地方公営企業の決算は、議会の認定に付され、決算の要領は住民に公表されるものであるが(地方公営企業法第30条第4項、同第7項)、この建設仮勘定の滞留の結果、令和3年度以前の決算書類において固定資産の勘定科目が適切に開示されていないことのみならず、本勘定への振替が漏れているために減価償却計算が開始されておらず、市の令和3年度以前の損益において減価償却費の費用が過小に計上されていたことになる。 |
令和5年10月18日公表(PDF:112KB) |
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