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更新日:2023年10月10日
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1 外部監査の種類
地方自治法第252条の37第1項に基づく包括外部監査
2 選定した特定の事件
病院事業に係る財務事務の執行及び管理の状況について
3 特定の事件を選定した理由
平成27年3月に総務省が公表した「新公立病院改革ガイドライン」(以下、「新ガイドライン」という。)では、更なる公立病院改革の必要性が示されており、これを受け、仙台市(以下、「市」という。)は平成29年3月に「仙台市公立病院改革プラン2017」(以下、「改革プラン2017」という。)を策定している。市立病院では、平成27年6月に「仙台市立病院経営計画(平成27~29年度)」(以下、「経営計画」という。)を策定し、経営改善に向けた取り組みを進めているものの、改革プラン2017によると、市立病院では赤字決算が続き、経常黒字化の目標年次が平成43年度とされており、厳しい財務見通しが示されている。
また、仙台市医療センターが設置する仙台オープン病院についても、関連出資団体として市の財政的関与を有している。
よって、市立病院及び仙台オープン病院の設置者である仙台市医療センターを対象に、財務事務の執行や管理の状況について包括外部監査人の立場から検討を加えることは、今後の行政運営にとって有意義と認識し、本年度の包括外部監査の特定の事件として選定した。
4 外部監査の方法
(1)監査着眼点
[1] 改革プラン2017は新ガイドラインの趣旨に沿って策定されているか
[2] 一般会計負担は適切に行われているか
[3] 能率的な経営により経済性が発揮されているか
[4] 契約事務は適切に行われているか
[5] 財務諸表は適切に作成されているか
(2)実施した主な監査手続
[1] 予備調査
病院事業の関連資料を入手、分析、質問により、当該事業の現状と課題を把握した。
[2] 本監査
予備調査の結果に基づき、「(1)監査着眼点」について経済性、効率性及び有効性(3E)並びに合規性の観点から検討を行った。検討に際しては、関連資料を閲覧し、必要に応じて関係部署に対する質問を行った。
5 外部監査の実施期間
平成29年6月16日から平成30年3月7日まで
I 個別検出事項
今回の監査の過程で発見された個別検出事項については、
と記載している。
項目 | 区分 | 現状の問題点 | 解決の方向性 | 改善措置 |
---|---|---|---|---|
(1)期待役割と病床機能の不整合 | 意見 | 改革プラン2017に131床(一般病床全体の約3割)もの病床を高度急性期から急性期に見直す可能性に関する記載がないことは、「当該公立病院の将来の病床機能のあり方を示す」という新ガイドラインの趣旨に沿った内容といえるか疑問であり、高度急性期医療機関として市立病院が果たす役割の過大評価が懸念される。 | 仙台医療圏における必要病床数を踏まえ、市立病院の将来あるべき高度急性期病床数を精査のうえ、将来の病床機能のあり方を次期経営計画に反映させる。 | |
(2)不十分な計画目標水準 | 意見 |
市立病院の設定した数値目標(救急患者受入れ数、救急車搬送患者受入れ数)が、期待役割に沿った医療機能の発揮を検証する観点から十分な水準といえるか疑問である。 |
市立病院の期待役割に沿った医療機能の発揮を検証する観点から、救急患者受入れ数や救急車搬送患者受入れ数の目標設定の妥当性を再検証のうえ、次期経営計画に反映させる。 | |
(3)損益計画の下方修正 | 意見 |
「退職給付引当金」を除く損益下方修正要因は市立病院の経営努力で解決する性質のものと考えられることから、改革プラン2017の損益計画及びその前提としての目標設定や目標達成に向けた具体的な取組策が経営の効率化として不十分な印象は否めない。 |
「平成43年度に経常黒字化」という改革プラン2017の損益計画について、経常黒字化が著しく困難な要因によるものか精査する。課題分析・目標設定不足によるものがあれば、中期的な損益計画を見直す。 | |
(4)定量的検討が不十分な目標設定 | 意見 | 新入院患者数の数値目標の定量的な裏付けが不十分であり、新入院患者数の数値目標が達成可能といえるか疑問である。 | 新入院患者数を増加するためには、救急のみならず、病院・開業医からの紹介が重要となる点を踏まえ、紹介患者数に係る数値目標と具体的取組策を次期経営計画に反映させる。 | |
(5)計画目標水準の検討不足 | 意見 |
職員給与費対医業収益比率の数値目標水準が、新ガイドラインが要請している「自らの経営上の課題を十分に分析し、課題解決の手段としてふさわしい数値目標」といえるか疑問である。 |
職員給与費対医業収益比率の目標設定(平成32年度56.6%)の適切性を再検証のうえ、人件費比率の高い要因分析と具体的改善策を次期経営計画に反映させる。 | |
(6)経営形態のあり方の検討不足 | 意見 |
現行の経営形態により所期の効果を達成しているといえるか疑問である。改革プラン2017に表面化されていない経営の効率化に関わる重要な諸課題があることを考慮すると、新ガイドラインに沿った経営形態の見直しの検討が十分に行われているとは認められない。 |
改革プラン2017に反映されていない諸課題を考慮すると、現行の経営形態(地方公営企業法の全部適用)では所期の効果の達成が不十分である、という問題認識を踏まえ、現行の経営形態で十分な経営効率化を図れるか検証する。 |
項目 | 区分 | 現状の問題点 | 解決の方向性 | 改善措置 |
---|---|---|---|---|
(1)一般会計負担の過大算定 | 指摘 | 個別事業の収支差を把握することなく、診療収入単価差に基づく積算は不適切であり、一般会計負担の過大算定が懸念される。 | 一般会計負担額の算定を、改革プラン2017の中で示している「当該事業における収支差」に基づく方法への見直しを含めて検討する。 | 令和2年1月10日公表(PDF:94KB) |
(2)一般会計負担と収支差の乖離 | 指摘 | 高度医療経費負担金は一般会計繰入後の収支差が168百万円であり、地方財政計画の積算額と実際の収支差に多額の乖離が生じている。地方財政計画の積算額による繰入が市立病院の実態を反映した適切なものといえるか疑問である。 | 高度医療経費負担金の算定基準を、実際の収支差に基づく方法への見直しを含めて検討する。 | 令和2年5月18日公表(PDF:74KB) |
(3)一般会計負担割合の過大評価 | 意見 | 市立病院の一般病床に係る建設改良費のうち、病院収益をもって充てることができないものが一般病床を含む部分にも50%あるとする根拠が不明確であり、一般会計負担割合67.6%の過大評価が懸念される。 | 基準外繰入の将来負担額の金額的重要性を考慮し、新ガイドラインに沿って、基準外繰入の算定基準を開示する。 | |
(4)公益上の必要性を欠いた補助金 | 指摘 |
|
公益上の必要性を合理的に説明できない補助金は廃止する。 | 令和元年12月4日公表(PDF:107KB) |
(5)合理的理由を欠いた無償貸付 | 意見 | 仙台オープン病院用地を無償貸付とする合理的理由が認められるといえるか疑問である。 | 無償貸付とする合理的理由がなければ、現行の貸付条件を見直す。 | |
(6)不十分な有効性評価 | 意見 |
市立病院に係る一般会計負担に対する明確な有効性評価が行われていない。例えば、以下の一般会計負担に対する有効性評価が十分に行われているといえるか疑問である。
|
市立病院が担う政策的医療に伴う一般会計負担を行政評価対象に加え、一般会計負担の有効性を検証する。 |
項目 | 区分 | 現状の問題点 | 解決の方向性 | 改善措置 |
---|---|---|---|---|
(1)非常勤職員の任用根拠と勤務実態の不整合 | 意見 |
非常勤嘱託職員の個別の職務の内容は必ずしも一般職の職員との相違が明らかではなく、かつ、労働者性の低い勤務態様とは考え難いため、任用根拠と勤務実態の整合がとれているか疑問である。 |
「臨時・非常勤職員及び任期付職員の任用等について」(平成26年7月4日総務省自治行政局公務員部長)を踏まえ、非常勤職員の任用根拠の見直しを含めて任用のあり方を精査する。 | |
(2)勤勉手当に係る成績率の一律適用 | 指摘 | 管理職員以外に対して、一律に適用された成績率を基礎とした勤勉手当の支給が行われている現状は、「職員が発揮した能率が充分に考慮されるものでなければならない」という企業職員の給与の基本原則の趣旨に反したものと考えられる。 | 企業職員の給与の基本原則の趣旨を踏まえた要領の見直しを行う。 なお、市立病院の説明によると、今後一般職員に適用される成績率を見直す予定である、とのことである。 |
令和元年9月20日公表(PDF:89KB) |
(3)企業の経営状況を考慮しない手当支給 | 意見 | 市立病院の給与規程上、期末・勤勉手当を含めて「企業の経営状況」を考慮して支給すると明示されたものはないため、手当支給額の算定上、企業の経営状況を考慮して決定されたかどうか不明確である。期末・勤勉手当に係る現行の決定方法は「企業の経営状況」を考慮すべきことを定めた地方公営企業法第38条第3項の趣旨に反したものと考えられる。 | 法の規定と整合するよう、期末・勤勉手当の支給額決定を企業の経営状況を考慮した方法に見直す。 | |
(4)36協定への抵触 | 指摘 |
特別条項の限度超過が検出されており、36協定に抵触していると考えられる。 |
市長部局における「超過勤務時間数縮減に向けた取り組みについて」(平成29年5月22日総務局)等を参考に、超過勤務削減への取組みを進める。 | 令和2年3月17日公表(PDF:103KB) |
(5)始業・終業時刻の確認不備 | 指摘 | 自己申告制による労働時間と実際の労働時間の乖離状況の把握が十分に行われているとは認められず、自己申告制による場合の労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置が講じられているといえるか疑問である。 | 自己申告制による労働時間と実際の労働時間の乖離状況の調査を行い、所要の労働時間の補正を要する実態がないことを確かめる。 | 令和2年10月14日公表(PDF:81KB) |
(6)兼業許可の確認不備 | 指摘 | 兼業許可に際して、報酬支払者が倫理規程で禁止されている職務上の利害関係者に該当しない点の十分な確認が行われていない。 | 兼業許可の審査において、利害関係者との取引リスクの有無を確かめる。 また、定期的に、製薬メーカーの情報開示資料をもとに、兼業許可申請の正確性を確かめる。 |
平成31年3月18日公表(PDF:85KB) |
(7)材料費削減の取組み不足 | 意見 | 市立病院の診療材料費比率(平成28年度12.5%)が高い水準と認められる。経営計画に掲げる診療材料費の削減に向けた取組みの実効性が確保されているといえるか疑問である。 | 改革プラン2017に示されている診療材料費の削減に向けた取り組みを徹底する。 | |
(8)医療機器マネジメントの取組み遅延 | 意見 | 経営計画に掲げられた「医療機器マネジメントの実施」に係る取組み施策が遅延している。経営計画の進行管理が的確に行われているといえるか疑問である。 | 本件取組み遅延の実情が人員不足によるものであるなら、経営計画に掲げる取組み施策の優先度や人員配置見直しの検討を行い、重要な取組み施策の進捗遅れを解消する。 |
項目 | 区分 | 現状の問題点 | 解決の方向性 | 改善措置 |
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(1)製品指定による性能仕様 | 意見 |
製品指定した具体的根拠に乏しいと認められ、性能仕様が必要以上のものとなり、実質的な競争性を確保されていない可能性が懸念される。 |
実質的な競争性確保の観点から、性能仕様を製品指定による場合の合理的説明付け(例えば、代替品の場合に生じ得る具体的な不利益)を明確にする。 |
|
(2)合理的理由を欠いた指名競争入札 | 指摘 | 対応可能な事業者が4者であることが、競争に加わるべき者の数が一般競争入札に付する必要がないと認められる程度に少数とまでいえるか疑問であり、指名競争入札とする合理的根拠は希薄である。 | 指名競争入札が例外的な契約方法であることを踏まえ、「競争に加わるべき者の数が一般競争入札に付する必要がないと認められる程度に少数」の適用範囲を慎重に判断する。 指名競争入札とする合理的根拠がなければ、一般競争入札とする。 |
令和元年9月20日公表(PDF:89KB) |
(3)不明確な随意契約の理由 | 意見 | 仙台市内に事業拠点を有しない等をもって、PPS事業者契約に災害復旧遅れリスクありとする評価が、東北電力との随意契約とする明確な理由とまでいえるか疑問である。 | PPS事業者契約に関するリスク評価見直しの要否を、随意契約理由の合理性の観点から検討する。 | |
(4)後年度負担を考慮しない契約方法 | 意見 | 医療機器の保守点検業務委託は当該医療機器メーカーに限定されることが多いことは容易に推測されるものであるから、医療機器の購入時に後年度に発生する保守費用を考慮せず競争入札を行うのは不合理である。 | 後年度に不可避的に発生する多額の費用が見込まれる場合、後年度負担を考慮した契約方法とする。 | |
(5)長期継続契約の活用不足 | 意見 | 年度ごとの特命随意契約が継続している業務委託のうち、長期継続契約との比較で単年度契約とする理由が明らかでない契約が検出された。 市立病院において、当該業務委託を単年度ごとの契約とする必要性が明らかでなく、長期継続契約の活用について十分な検討が行われているといえるか疑問である。 |
契約事務の経済性、効率性の視点から、長期継続契約の適用範囲の拡大を検討する。 | |
(6)委託業務評価の未実施 | 意見 | 市立病院では医事業務等業務委託について、委託業務の完了確認は実施しているものの、委託業務評価は実施していない。市立病院が本業務委託契約について、契約の適正な履行を確保(地方自治法第234条の2第1項)するための必要な監督または検査を実施しているといえるか疑問である。 | 医事業務等業務委託の重要性を考慮し、業務委託仕様書にサービス水準に係る評価指標を定めるとともに、定期的に委託業務評価を実施する。 |
項目 | 区分 | 現状の問題点 | 解決の方向性 | 改善措置 |
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(1)退職給付引当金の計上不足 | 指摘 |
市立病院では、退職給付引当金の不足額4,125百万円を平成26年度から15年にわたり費用処理する方針であるが、当該例外的処理の適用に足りる合理的根拠を有するとは認められず、退職給付引当金の経過措置に係る引当不足が懸念される。 |
市立病院の平均残余勤続年数を検証し、例外的処理である退職給付引当金の経過措置適用の合理的根拠付けを行う。 |
令和2年1月10日公表(PDF:126KB) |
(2)診療報酬請求管理の不備 | 指摘 |
市立病院における入院レセプト保留台帳を閲覧すると、「症状詳記の記載遅れ」の保留事由が散見された。 |
症状詳記の記載遅れの多い担当医師に対する適時確認を徹底する。 | 令和2年1月10日公表(PDF:79KB) |
(3)他会計間取引の照合不備 | 指摘 | 平成28年度において、他会計からの長期借入金40,000千円の減額修正処理が行われている。 当該借入金は長期にわたり一般会計の記録と不整合が生じていたと考えられ、市立病院が行う帳簿の照合に不備があったと認められる。 |
毎年度、他会計間取引に係る債権債務残高を照合する。 | 平成30年12月5日公表(PDF:69KB) |
(4)業務活動によるキャッシュ・フローの過大表示 | 指摘 |
業務活動によるキャッシュ・フローが3,081百万円過大表示されており、キャッシュ・フロー計算書が病院事業会計のキャッシュ・フローの状況を適切に表しているとは認められない。 |
キャッシュ・フロー計算書の作成上、非経常的な取引に係るキャッシュ・フローの取扱いに留意する。 | 平成30年12月5日公表(PDF:68KB) |
(5)偶発債務の注記開示もれ | 指摘 | 市立病院跡地の売買契約に係る瑕疵担保は市立病院の偶発債務と考えられるが、当該瑕疵担保に係る注記開示を不要とまで判断できるか疑問である。明瞭性の原則に沿った注記開示の要否判断が行われていたとは認められず、瑕疵担保に係る注記開示もれと考えられる。 | 本件用地の土壌汚染状況調査報告が完了し、市立病院の土壌汚染対策費の負担リスクに重要性が認められなくなるまで、本件瑕疵担保に係る注記開示を行う。 | 平成30年12月5日公表(PDF:81KB) |
(6)会計方針適用の根拠不足 | 指摘 | 仙台市医療センターでは退職給付債務の見積りに簡便法を適用しているが、例外的処理である簡便法を適用する合理的根拠が認められない。 | 退職給付債務の見積りに簡便法を適用する合理的根拠を明確にする。 合理的根拠がない場合、原則法を適用する。 |
令和元年12月4日公表(PDF:79KB) |
(7)補助金受入に係る会計処理誤り | 指摘 |
仙台市医療センターの財務諸表上、以下の不備が認められる。
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補助対象建物を特定資産に区分するとともに、改築支援事業補助金(元金)を指定正味財産として受入処理する。 | 令和元年12月4日公表(PDF:101KB) |
(8)貸付金の会計処理誤り | 指摘 | 仙台市医療センターが実施する看護学生就学資金貸付事業について、貸付時に貸付金を費用処理するのは会計処理として不適切である。 | 就学資金貸付時は貸付金として資産計上し、償還免除時に費用処理する。 |
II.経営形態のあり方と市民への説明責任
今回の包括外部監査を踏まえた包括外部監査人の所見を、新ガイドラインが示す4つの視点で整理して示すと以下のとおりであり、市の策定した改革プラン2017が市民に対する説明責任を十分に果たしていない印象は否めない。
新ガイドラインの視点 | 包括外部監査人の所見 | 関連する個別検出事項 |
---|---|---|
地域医療構想を踏まえた役割の明確化 | 一部病床の機能見直しに伴う将来の病床機能のあり方が不明確である。 また、期待役割に沿った医療機能の発揮を検証可能な目標設定が行われているとは言い難い。 |
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一般会計負担の合理的根拠に乏しい基準外繰入が行われており、かつ、改革プラン2017にて明確な記載が行われていない。 また、一般会計負担の有効性評価が不十分なため、不作為による矛盾が表面化していない可能性が懸念される。 |
|
|
経営効率化 | 「平成43年度に経常黒字化」という改革プラン2017の損益計画は、経営の効率化に向けた取組みが十分とは言い難い。 |
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再編・ネットワーク化 | 高度急性期・急性期の過剰病床が見込まれる仙台医療圏の経営環境下で、病床機能の再編成に関する代替評価が十分に行われているとは言い難い。 |
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経営形態の見直し | 現行の経営形態で十分な経営効率化を図ることが可能といえるか疑問である。 |
|
経営計画では「職員の経営参画意識の高揚」を掲げているものの、このような改革プラン2017の抱える問題を考慮すると、市立病院職員の間に「当事者意識と健全な危機感を伴った経営参画意識」が浸透しているといえるか疑問が残る。
改革プラン2017では、「地方公営企業法全部適用と地方独立行政法人(非公務員型)とのメリット・デメリット」が示されている。これをもとに包括外部監査人の視点で整理すると以下のとおりであり、市立病院の経営形態のあり方として地方独立行政法人への移行が望ましいと考える。
地方独立行政法人(非公務員型)のメリット | 市立病院において考慮すべき事項 | |
---|---|---|
基本的事項・運営面 |
|
地域医療構想を踏まえ、市立病院においても変革が求められることが想定される。 市長部局と市立病院の役割分担が明確になるとともに、病院経営ガバナンスの観点から、意思決定の迅速化により環境変化に柔軟に対応できる効果が期待される。 |
人事・給与面 |
|
他の公立病院と比較して人件費比率が高いため、市立病院における経営効率化は人事・給与制度の問題に尽きるといって過言ではない。環境変化に柔軟に対応できる人事・給与制度への移行は、職員の経営参画意識の高揚を図るうえでも効果的と考えられる。 |
財務面 |
|
環境変化に柔軟に対応できる執行制度への移行により、市立病院の経営効率化に寄与する余地は大きいと考えられる。 |
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