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ホーム > ブログ・SNS > 八木山動物公園スタッフブログ「八木山ZOO通信」 > ホッキョクグマの出産から生後1か月まで(2025年1月24日)
ページID:78747
更新日:2025年1月24日
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八木山動物公園スタッフブログ「八木ZOO通信」
前回のブログで、ホッキョクグマは未熟な状態で生まれてくるため、大きく成長するのが難しいとお話ししましたが、成育にはいくつかの壁があると考えています。
まずは、授乳が軌道に乗るまでの3日間の壁。
そして前回の出産時に超えられなかった2週間の壁。
そして、生後1か月の壁の3つです。
生後1か月を超えれば、成育率の面からは少し安心できるのかもしれません。
出産が分かった日から3日間は飼育員と獣医師が泊まり込み、24時間体制で親子の様子を見守りました。
観察中の飼育員
モニターでカイとポーラどちらも観察
ポーラの子育てを観察していると、
1、仔が鳴く
2、ポーラが授乳体勢になる
3、授乳音(ささ鳴き)が聞こえる
4、仔が静かになるとポーラも眠る というサイクルでした。
ただし、今回は2頭の子育てです。
1頭ずつ授乳すると、授乳に倍の時間がかかりますし、2頭それぞれが空腹のタイミングで鳴くので、ポーラは大忙しです。
ホッキョクグマの多くは複数頭出産しますが、1頭だけが順調に成育する例も多く、2頭とも十分な授乳をして大きく育てるということはより難しいことです。
出産直後は、もしかしたらどちらか片方が死んでしまう可能性があるかもしれないと思っていましたが、子育ての様子を観察していると、ポーラはひたすら授乳を繰り返し、3日齢まで1日に100回くらい授乳していました。
授乳する様子
ポーラの懸命な授乳のおかげで2頭一緒に越えられた1つ目の壁。次は目指せ2週間の壁!
生後1週間を超えると、仔が少し大きくなったのが分かりました。
また、前肢で体を起こしたり、ポーラのお腹の上をよじ登ったりするようになりました。
ポーラは少し余裕が出てきたのか、1日に1回程度、水を飲みに起き上がったときに、仔のまわりのウッドチップを掘り返し、ベッドメイキングすることがありました。
チップを掘るポーラ
飼育員や獣医師はこの様子を観察していてヒヤヒヤ。
ポーラの大きな体で小さな赤ちゃんを踏んでしまわないか、食い入るようにモニターを見つめました。
そんな心配をよそにポーラは何事もなかったかのように仔たちに授乳を始めました。
無事に2週間の壁を越し、穏やかな新年を迎えることができました。
よし、次は目指せ1か月!
前回のブログで、野生のホッキョクグマは巣穴の中で何も食べずに子育てを続けるとお話ししました。
実はポーラもこれと同じように産室の中では餌を食べずに子育てを続けていました。
夏から秋にかけてたくさん餌を食べて蓄えた体の脂肪を少しずつ消費しながら、身を削って子育てに挑んでいるのです。
そんな中でも授乳に集中しているポーラの姿を見ていると、母は強くて偉大だなと感心させられっぱなしです。
仔たちは2週間を過ぎると、より元気な鳴き声で鳴くようになりました。
また、ポーラのお腹のあたりで寝返りをうったり、あくびをしたりする姿を見ることもできました。
寝返りをうつ仔
授乳は毎日40回以上と安定していて、少し安心して観察できるようになってきました。
そして先日、無事に1か月の壁を越えることができました。
この1か月間、緊張の毎日でしたが、多くの方々の協力のおかげで乗り越えることができました。
毎日つけていた観察の記録は、こんなに分厚くなりました。
観察記録を綴ったファイル
今後は、徐々にポーラに給餌を再開していく予定ですが、飼育員が産室に近づくことになるので、1カ月経過したといえど、まだまだ気を緩めずに慎重に飼育していきたいと思います。
出産後、多くの皆様から応援のお言葉をいただき、励みになっています。
ありがとうございます。
今後も仔の成長を一緒に見守っていただけると嬉しいです。
お問い合わせ
仙台市建設局 八木山動物公園 飼育展示課
電話:022-229-0122
ファクス:022-229-3159