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We Know SENDAI
ページID:66645
更新日:2024年11月6日
株式会社レナサイエンス
取締役会長
東北大学大学院 医学系研究科
教授
宮田 敏男 氏
私はもともと腎臓内科医で、腎臓病の治療薬を開発したいと思い、医薬品開発の研究を進めてレナサイエンスを創業しました。本社は東京・日本橋にあります。以前は、動物育成施設も含む研究所を川崎に有していましたが、疾患対象が多くの診療科に拡大し、多くの開発シーズの段階が基礎から治験に進んだことで、自社の研究所は閉鎖しました。
しかし、研究開発には実験を行うラボ機能に加え、医師や研究者の交流の場、最先端の科学技術成果を活用する場、医療産業企業とのオープンイノベーションの場が必要です。そうした考えから、2022年1月に東北大学大学院医学系研究科の『東北大学ライフサイエンス系オープンイノベーション拠点(以下、東北大学メディシナルハブ)』内に、レナサイエンスの研究開発拠点『TREx(ティーレックス):Tohoku x Renascience』を設置しました。これは、2021年4月に締結した「仙台市と東北大学との地域経済発展に関する協定」に基づく拠点立地の第一号案件でもあります。
開設にあたり、東北大学と仙台市にはサポートをしていただきました。郡市長からは「優秀な学生の地元雇用も期待しています。地域経済をけん引する企業になるよう市も応援します」と激励のメッセージを頂戴し、スタートアップ企業として心強かったです。地域に対して何か貢献できることがあるのではないかと、強い使命感を持って取り組めるのも、ほかでもない仙台の土壌があってこそだと感じています。
産学連携が活発な東北大学に基盤を置くことで、大学病院の医師と連携した医薬品や医療機器の医師主導治験の実施など、効率的で迅速な研究を進められる強みがあります。東北大学の情報・工学系の強み、また病院の充実した医療データを活用すべく、医療用人工知能(AI)の開発にも注力しています。
対象となる疾患は、がん、糖尿病、呼吸器疾患、循環器疾患といった「老化関連疾患」。WHO(世界保健機関)によると、それらの疾患が全世界の死因で約4分の3を占めるといわれています。日本でも超高齢化が進む今、老化関連疾患は私たちが取り組むべき大きな課題です。もう1つは、月経前症候群や自閉症をはじめとする「女性・小児疾患」。女性と子どもが安全安心に暮らせる社会に寄与することも、超高齢化や少子化を乗り切る鍵になると考えています。大学の研究成果をもとに、医療現場が抱える課題を解決することが大学発ベンチャーの使命と考えます。
東北大学が推進するオープンイノベーションに参画する企業や他大学からのシーズも、非常に大きなメリットです。『TREx 』が入っている『東北大学メディシナルハブ』には、製薬企業、IT企業、投資企業などのさまざまな企業や大学、行政が参加しています。コロナ禍で何か貢献できないかと、ここに集うメンバーがいち早く動き出し、新型コロナによる肺傷害治療薬の治験も進みました。他にも、ここに集う関係者との共同研究やプロジェクトが進行中です。開設から1年で、効率良く質の高い研究を推進するオープンイノベーションの魅力を体感しています。
私たち大学研究者は、公的資金や企業との共同研究などによる外部資金で研究を行っています。しかし、全ての研究費を賄うのは難しい現状です。そこで、VCなどからベンチャーを介して投資を受ける新しい投資の枠組みも重要になります。さらに、ベンチャーを介して、地域の活性化や人材の育成の面でも好循環につなげることができると考えています。東北大学をはじめ教育機関が充実した仙台には、やる気のある若い人が多く集まっていますから、仙台の地で一緒に新しいイノベーションを起こせたらと願っています。
(2023年1月12日取材)
株式会社レナサイエンス
本社の所在地:宮城県仙台市青葉区星稜町2-1
仙台の所在地:東北大学星陵キャンパス 医学部6号館
拠点開設年:2022年
仙台拠点の主な業務内容:医薬品の研究開発
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