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更新日:2024年4月5日

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株式会社門間箪笥店

会社概要

門間箪笥店のロゴ

社名:株式会社門間箪笥店

設立:1872年

従業員:15名

本社:仙台市若林区南鍛冶町143

主な事業内容:家具製造販売

 

「四方よし」な取り組み

独創的な社会的課題解決に向けた取り組み

課題

伝統工芸の売上と従事者が年々減少の一途を辿る中、日本の宝とも言うべき、職人仕事を次世代に継承する必要がある。

取り組み

1872年創業の株式会社門間箪笥は、約150年の仙台箪笥の企画製造販売の歴史の中で培ってきた伝統の技能を武器に、2014年より海外に進出。アメリカでの期間限定出展を皮切りに、アジア各地で展示会を開催し、2017年には香港に自社の直営店舗をオープンした。

この海外店舗展開の経験・ノウハウを国内の職人の支援に活かしたいと考え、2020年より、ものづくり企業の海外進出支援を実施している。香港・上海にある同社の店舗を活用したテストマーケティング、カスタマー情報やマーケット情報のデータ収集、本格的な海外進出を行うための商品開発や販路開拓サポートなどを切れ目なく支援しており、海外展開で大きなネックになる貿易実務や物流手配等を株式会社門間箪笥が全面的にサポートしている。

成果

2021年6月に、香港の直営店舗で福島の漆作家の作品を期間限定の個展形式で展開。漆作家からは、「売上につながり、今後が楽しみだ」「初めての海外輸出だったので、全面的にサポートしてもらいとても助かった」「お客様の生の声が今後の海外展開において大きな学びとなった」などの声が寄せられた。同作家の次回個展は2021年12月の展開を予定している。

また、2021年11月15日~12月12日にかけて、銅器作家や漆器作家など複数の職人の作品を展開する予定。

香港での漆作家の個展「香港で開催した漆作家の個展」

 

魅力的な職場環境づくりに向けた取り組み

課題

約150年に渡り受け継いできた指物(木工)・塗りの2つの技能を次世代に継承するために若い職人を育成する必要がある。

取り組み

2011年以降に20~40代の若い職人を増やすことで次世代に技能を継承していくために、以下の基盤整備を行った。

  • 休日休暇制度の整備
  • 福利厚生の整備
  • 基本給アップ

成果

取り組みを始めた当初は、若い職人が長続きせずに入れ替わりもあったが、約10年間、根気強く取り組み、徐々に成果が現れた。

2017年頃から、指物は40代、塗りは30代の職人2名が頭角を現してきており、2021年現在においては、両名とも一定以上の技能レベルの者のみが与えられる社内資格である主任に昇格している。

若い職人からは、「今後は従来の工程を見直し作業の効率化に挑戦してみたい」「次の世代に技能を継承していけるよう、後輩の育成にも取り組みたい」などの声が上がっている。

作業に取り組む若手職人1「作業に取り組む若手職人1」

作業に取り組む若手職人2「作業に取り組む若手職人2」

 

トップインタビュー

門間箪笥店社長若手の職人の育成に力を入れる門間一泰代表

 熟練の職人技が生み出す日本の伝統工芸。しかし現場では全国的に職人が減少し技能の継承が危ぶまれている。1872年に創業し、仙臺箪笥の老舗として歴史を重ねている門間箪笥店は、海外進出で新たな市場を開拓。また、若手の職人育成にも積極的に取り組み、2021年、仙台市の「『四方よし』宣言企業」に登録された。日本の職人仕事から生まれる豊かな文化とそこから生まれる感動を世界へ広げることに力を入れている。

 7代目の門間一泰代表取締役が海外進出に目を向けたのは2014年。「国内での販売の伸びが感じられず、経済的背景を見ても高価な調度品を売っていくのは難しいと感じていました」と海外に販路を求めた理由を話す。

 米国での展示会などを経て、自社の製品とマッチする客層を明確化し、香港の展示販売で手応えを感じた。「私たちがターゲットとしているお客さまと出会えたことに加え、貿易実務のノウハウと人的ネットワークが得られたことは大きかった」。そうした経験を生かして門間代表が始めたのは、ものづくり企業の海外進出を支援する事業。海外進出に活路を見出そうとするものづくり企業を、商品開発、貿易実務、物流手配等の面でサポートしている。

 現在は約6社をサポート。2021年12月に新たに香港で開店した直営の路面店では、自社や支援する企業の商品をそろえ、ショールームとして活用する予定だ。「先日、福島の漆芸家の作品を展示したところお客様の反応が良かった。それを作家さんに伝えたらとても喜んでいました。直接お客様の声を伝えられれば、作品に生かすことができるし、後継者を育成する意欲も湧いてくると思います」。


門間箪笥店展示会門間代表がサポートする作家の展示会

 また、門間代表は職人が定着することと若い職人が育つことは次世代へ技能を継承する上で必須であると考え、家業を継いだ2011年、まず取り組んだのが、職人定着のための職場環境の改善だ。完全週休二日制の導入や、福利厚生を整備したほか、コロナ前は研修や懇親会も積極的に行った。

 一方、職人の育成については現在も模索中だ。ベテランの職人は高い技能を持っているが、手取り足取り指導することが不得手な人も少なくないという。そういった職場の風土を少しずつ変えてきたことで、現在門間箪笥店で働く若手の職人たちは、自身のスキルアップだけでなく後進の育成にも積極的だという。今後は、専門的な学校で学んだ人を積極的に雇用し育てることを目標に掲げている。「興味を持って専門学校で学んでも、卒業後に関連する仕事に就けない人も多い。最低限の基礎がある人を育成し、学んだことを生かせる道筋を作っていきたい。そのためにもまずは自社の売り上げを伸ばしていくことが必要です」と門間代表。


門間箪笥店職人職人定着のため職場環境の改善を進めている

 2022年で150周年を迎える門間箪笥店。今、イメージしているのはバブル前の、職人が元気で稼げていた時代。現場をそんな空気にしていくことで世の中の元気につなげていきたいと門間代表。「幼いころから職人の働く姿をかっこいいと感じていました。うちの職人たちは誇りを持って働いていたし腕も良かった。それが僕の原風景」と胸を張る。

 

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お問い合わせ

経済局中小企業支援課

仙台市青葉区国分町3-6-1表小路仮庁舎9階

電話番号:022-214-7338

ファクス:022-214-8321