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更新日:2024年4月5日
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社名:株式会社ダイワ技術サービス
設立:1985年
従業員:56名
本社:仙台市宮城野区五輪1丁目8-3
主な事業内容:測量業、地質調査業、建設コンサルタント業
その他:健康経営優良法人認定企業、仙台市奨学金返還支援対象企業
現在、建設業界で働いている技能労働者約340万人(2014年)のうち、約3分の1にあたる110万人が、団塊世代の定年退職や高齢化等により離職すると想定されている。一方、建設業界全般に対する「きつい、危険、給与が安い、休暇が取れない」というイメージが影響し、若者から敬遠されることにより、将来の担い手が不足している。
こうした、熟練技術者の大量離職と若者の担い手不足により、ノウハウの伝承ができず、建設業界全体において熟練技術・技能が消失する恐れがある。
1点目が、定年後の技術者の雇用。自社のみならず他社を含めた熟練ノウハウを持つ定年後技術者を現場作業補助員や成果検査担当として採用し、測量作業における技術ノウハウや測量成果取り纏め方法などを若手社員へ伝承している。また、現場安全パトロールを全社的に実施し、定年後技術者の経験則に基づき現場で安全管理に関する助言・指導を行っている。
2点目が、若者に対する広報活動。従来の建設業界全体のイメージを払拭するため、出前授業やインターンの受け入れ等を通し、高校生・専門学校生に向けた広報活動を行っている。建設業界が最新技術を活用した魅力ある職場に変化していることや、「ゆとりある、安全、給与が高い、休暇が取れる」雇用環境に変わってきていることなど、建設業界全体の魅力を分かりやすく伝えている。
「熟練技術者による成果品検査指導風景」
「出前授業の様子」
(定年後技術者の雇用)
60~69歳 5名(安全管理者、成果検査担当、技術指導及び伝承、営業補助)
70~78歳 4名(成果検査担当、技術者倫理指導、技術指導及び伝承)
(若者に対する広報活動)
男性社員が育児休業・時短勤務を取得しにくい職場環境だった
平成31年4月に、男性社員から育児休業取得についての相談があったことを機に、社内会議を開催。職員の家庭と仕事の両立を推進することを決定し、令和元年8月に「社員が仕事と子育てを両立させることができ、社員全員が働きやすい環境を作ることによって、すべての社員がその能力を十分に発揮できるようにするため行動計画」を策定し、社員に対して表明した。育児休業の取得や育児(保育園送迎等)による時短勤務を奨励するため、該当する社員がいる場合は職場内で積極的に声がけするなどしている。
育児休業や時短勤務を取得した社員からは、「働きやすい。」や「すごく助かる。」といった声が上がっている。
令和元年 男性社員(入社5年目) 育児休業1カ月取得
令和2年 男性社員(入社12年目) 育児休業1カ月取得
令和3年 男性社員(入社15年目) 時短勤務(保育園送迎等)1カ月取得
「育児休業中の社員」
若者の採用やノウハウの伝承に向けさまざまな取り組みを進める小川稔代表取締役社長
ダイワ技術サービスは、高い測量技術で建設現場を支え、社会資本整備の一翼を担う。
特に、最先端の3次元計測の分野で強みを持つ。ドローンや車などに機材を搭載し、山間地や海、ダムの計測をレーザーで行い、高精度で効率的な測量を実現している。
小川稔社長は「首都圏の大手企業を除けば、これだけの設備を持っている会社はあまりない。恐らく東北で一番でしょう」と胸を張る。
一つ一つの機材は高価だ。「ドローンに搭載すれば、スーパーカーを空に飛ばしているのと同じ」と小川社長は苦笑する。それでも着々と配備をしてきたのは、東日本大震災の復興需要がなくなることを見越した先行投資だった。
定年後技術者による現場の安全パトロール
最先端の取り組みをしている同社でも、頭を悩ませていることがある。団塊世代が大量定年退職を迎える中、若者から「建設業界はきつい、危険、休暇が取れない」と敬遠され、業界全体でノウハウの伝承が危ぶまれていることだ。
そこで同社が始めたのが、定年後の熟練技術者の雇用だ。他社を含めた定年後の技術者を採用することで、建設業界における熟練技能の消失を防いでいる。現在同社には9人在籍し、全社員の16%を占める。
経験豊富な定年後技術者が、新入社員や中途採用で初めて建設業界に入った社員にノウハウを伝えるとともに、現場の安全パトロールをして安全管理に関する助言・指導を行い、事故などの未然防止に貢献している。
「(この業界は)ミスや事故がないことが前提。そのためにキャリアを積んだ方の経験値は大きい」と小川社長は語る。
建設業界全体のイメージ向上を目的に、若者の新規採用に向けた広報活動にも積極的に取り組む。震災直後から仙台工高の生徒をインターンとして受け入れているほか、他校や専門学校への出前授業もしている。業界が最新の技術を活用した魅力ある職場に変わりつつあることや、「ゆとりある、安全、給与が高い、休暇が取れる」雇用環境にきていることなどを生徒にアピールしているという。
小川社長は「当社の取り組みを通じて、建設業界全体のイメージアップにつなげていきたい」と話す。
育児休業取得中の風景
同社では、働きやすい職場づくりにも力を入れている。2019年に男性社員から育児休業取得の相談があったのをきっかけに、家庭と仕事の両立を目指すことを決定。社員全員が働きやすい環境をつくることで、能力を十分に発揮できるようにすることが狙いだ。子育てに関する各種制度をまとめたリーフレットを社員へ配布したり、管理職向けの研修を実施したりして育児休業などを取得しやすい環境づくりに取り組んできた。
これまで入社5~15年の男性社員が1カ月間の育児休業を取ったり、保育園送迎のための時短勤務をしたりしている。「職場環境を整備することで、安心して働いてもらえれば」と小川社長は語る。
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