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更新日:2024年4月5日
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社名:アクアビット・ファクトリー株式会社
設立:2017年
従業員:38名
本社:仙台市宮城野区幸町2-9-8
主な事業内容:高齢者介護(認知症対応型共同生活介護、看護小規模多機能型居宅介護)
超高齢社会が加速する中、予防と初期対応の重要性が増加している。しかし、それらを効果的に機能させるには与えられた制度では十分と言えず、各専門職の継続的な関わりと、地域住民の自発的な参加が重要なテーマとなっている。私たちは福祉の専門職チームとして、この課題にいかに取り組むべきかをずっと考えてきた。
平成25年より、地域包括支援センターや地区社会福祉協議会などと連携しつつ、自社の強みである医療・介護の知識とネットワークを活用し、デイハウス(介護予防教室)や認知症カフェ(ハッピーカフェ)の開催に取り組んでいる。地域の民生委員の他、理学療法士、作業療法士、鍼灸師、薬剤師、歯科衛生士、看護師、ケアマネジャー、介護福祉士などの各専門職や学生などがボランティアとして参加している。
2025年問題を筆頭に介護人材の不足が叫ばれて久しい中、いかに人財を確保・定着・育成し、サービスを維持・向上させるのかが、企業としても社会としても大きな課題となっている。実際に弊社でも離職率が高く、その後の人材確保もままならない状況が続いていた。この課題を解決するためには、『従業員ファースト』を覚悟をもって掲げてトップダウン専行型の労使関係から脱却すると共に、「安心」「やりがい」「報酬」「誇り」の4つを醸成するための環境整備が必要だと考えた。
かつて3割に達していた離職率が、いまや8%─。退職理由が必ずしも職場への不満だけではないことを踏まえれば、この数字はもはや誇るべき水準にある。
宮城野区幸町にあるアクアビット・ファクトリー株式会社は、経営理念に「従業員ファースト」を掲げ、スタッフが納得して働ける環境づくりに注力する。
「10年前、職場で『休憩を取れるようにしよう』と言ったら笑われましたが、今は違います。働く人のことを最優先に考えている介護事業者があることを、もっと知ってほしいんです」。代表取締役の蓬田裕樹(よもぎた・ゆうき)さんは願いを語る。
「蓬田裕樹代表」
15年後の2035年、介護業界では79万人もの人手不足が見込まれている。機器の進化や介護技術の発達で、かつてのような重労働は軽減されているものの、求人に対し採用が追い付かない業界であることに変わりはない。しかしアクアビット・ファクトリーは一歩先を行く。介護業界では珍しい、「働き手よし」に重きを置く職場であることを対外的にもアピールする。
「スタッフが長く働き続けられる職場にしてこそ、いい介護が実現できる」。そうした視座に基づく職場改善は2017年に始めた。その象徴である従業員も参加する施設の運営会議や年2回のアンケートでは、忖度なしの率直な意見が挙がる。当初は批判に身構えていたが、改善を口約束にせず、従業員ファーストを明確な形で伝え続けたことで「課題を不満で終わらせず、一緒に解決する空気」に変わってきたという。
「和気あいあいと働くスタッフたち」
待遇の改善も、「納得感」を重んじる。年功序列で昇給する職能給ではなく、年齢に関係なく仕事の難易度や責任で評価する「職務給」へ切り替えた。管理職はマネジメント業務や報告書提出といった責任が課される分、給与を大幅に引き上げる。夜勤手当も利用率によって段階的に引き上げ、最高で従来の倍額に設定。人事評価も、評価者によって左右されやすい定性評価ではなく、客観的な数字に基づく定量評価に変更した。
蓬田さんは「『給与アップのためには上司に評価されなければ』という他者基準から、『自分はどうすべきか』の当事者意識に変わったことが大きい」と胸を張る。
介護は地域福祉と密接に関わっている。退職者が減ることで常に顔見知りの従業員がいるため、地域住民に安心してもらえるという。行政や社会福祉協議会などとの信頼関係も強化され、かつてイラストレーターを目指していた従業員がパンフレットの表紙を任されるという機会も生まれた。
「地域の人たちと連携して開催するハッピーカフェの様子」
蓬田さんは「自分の良さは柔軟性があるところ」と自負する。温故知新を座右の銘とし、論語など古典に学びながらも、いいと思ったことは何でも変えていく。育休を取得し、子連れ出勤も経験した従業員は「ケアにも楽しさを、と掲げられているのを見て、ここは現場目線の職場だなと思った」と振り返る。
「介護や医療といった福祉は将来性のある仕事です。介護業界への偏見を払拭し、多くの人に挑戦してもらってみんなでいい暮らしをつくりたい」。蓬田さんは先を見据える。
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