ホーム > 事業者向け情報 > 経済・産業 > 中小企業支援 > 支援メニュー > 企業価値や魅力の向上を図りたい > 施策 > 仙台「四方よし」企業制度について > 仙台「四方よし」宣言企業 一覧 > 株式会社タゼン
ページID:55512
更新日:2024年4月5日
ここから本文です。
社名:株式会社タゼン
設立:創業1596年、会社法人化1960年
従業員:43名
本社:仙台市青葉区一番町一丁目12-40
主な事業内容:リフォーム事業、住宅設備機器の販売・施行事業、ガス管・上下水道管工事事業、銅製品の製造販売事業
仙台市は、東北観光のゲートウェイであるものの、観光資源が乏しいことから、市内滞在日数が少ない。このような中、コロナ禍により県をまたぐ移動や外出に制限がかかる事態となっており、飲食店を中心とした地元企業にも大きな影響が出ている。
伊達政宗公より「御銅師(おんあかがねし)」に任ぜられ、安土桃山時代から守り続けてきた銅細工の技を強みに、伊達文化ゆかりの銅の魅力を多くの方に知ってもらい、地域活性化につなげていくための2つのプロジェクトを実施している。
「銅(あかがね)」をキーワードに、<見る・味わう・体験する>を通して、仙台の魅力を再発見してもらうプロジェクト。銅製香炉や銅の鐘、銅製の仙台城下図を見学できる歴史観光施設巡りや、銅鍋で作ったおでんやカスタードを味わうことができる地域飲食店での食事、銅細工の製作体験など、仙台の「あかがねスポット」を存分に探検することができる内容となっている。
仙台市民が愛する郷土食として、震災以降人気となった「仙台せり鍋」に注目し、せり農家、飲食店と共に、「仙臺銅壺せり鍋」を発表。400年以上前に生まれた、同社の銅製品と仙台せりが、せり鍋を通じて、仙台の歴史と誇りを知るきっかけになるよう願いが込められている。
令和3年6月までに、合計30名以上の市民・県民が体験している。緊急事態宣言下では、やむなく休止が続いていたが、人数を絞り、月1回程度の開催を継続している。予約は随時埋まっており、リピートを希望する声も多く上がっている。
現在、多彩な体験プログラムを紹介している観光情報サイト「仙台旅先体験コレクション」(仙台観光国際協会)に掲載されているほか、仙台のあかがねスポットを伊達武将隊とともに伝える「生成銅道!仙台AKAGANE」がFM仙台で放送されるなどの広がりが生まれている。
これらを通じて、地元仙台の市民に対して、今も街の中で生き続ける「銅(あかがね)」という、仙台ならではの「伊達の文化」を知ってもらう機会を提供できたと考えている。また、コロナ収束後には県外旅行者の滞在日数増につなげていきたいと考えている。
「銅細工の製作体験の様子」
「大きな銅製香炉(瑞鳳殿)」
令和2年11月~令和3年3月のシーズンには、約30個を県内外に出荷。宮城県内を中心に、テレビや新聞、雑誌などの各メディアに取り上げられた。
また、地元飲食店からは「新たな名物となるような、地域の特産品とコラボした「仙臺銅壺」のラインナップを拡充してほしい」、地元中小企業からは「コラボレーションして、新しい商品を国内外に販売したい」といった要望を受けており、地域活性化につながるような、新たなサービスの仕組みづくりや製品の開発を進めている。
「仙臺銅壺を使用したせり鍋」
職場環境の改善について、経営側と社員とで共通認識を持つ必要があった。
そこで、令和元年より、社長・副社長との面談で意見交換を行い、主に若手社員の声から、次のような課題が見えてきた。
車通勤者が9割を占め、通勤時間は20分から100分。出勤時は、事務所に立ち寄りタイムカードに記録してから各現場や訪問先に向かうため、営業先が遠方(石巻、古川など)の場合は非効率だった。
手書きの紙伝票で報告・管理する帳票が多いため、帰社後のデスクワークで残業時間が長くなりがちで、コロナ禍以前は、平均2時間以上の残業時間だった。また、移動時間の長い部署とそうでない部署で、残業時間に大きな差があった。
タイムカード、手書き紙伝票、業務日報等の情報を突き合わせて、勤怠管理をアナログで行うなど、給料ソフトへの入力等に多くの時間が割かれていた。
上記課題解決のためのデジタル化構想を掲げ、下記の内容について、システム開発や実証実験、訓練等を実施。令和3年をデジタル化実働の年と定め、同6月より、新システムでの一部運用を開始している。
手書き等の伝票を、何度もパソコンに入力し管理していた情報を、パソコンへの入力が一度限りで良くなるよう、情報の一元化を図る。
令和2年1〜3月実験を行い、実働に向けて課題改善を繰り返しながら、新しい働き方のビジョンが共有されたことで、若い社員や中堅社員がイキイキとし、会社の雰囲気が明るくなった。
「社用車での直行直帰」
社員の声から、現場で即見積や商品の発注、工事の段取りなどの必要な情報をやり取りできるシステムを構築したことで、新しい事業展開へと繋がるような発想や、前向きな意見が生まれるようになった。
業務時間の削減につながったほか、一元化された情報を他業務にも活用できるようになり、デジタル化された情報を営業活動に活かして、良い業績が確認できるようになった。
400年以上の銅細工の歴史を語る田中善副社長
銅細工の技を400年以上継承する住宅設備業タゼン(仙台市青葉区)は2021年7月、仙台市の「『四方よし』宣言企業」に登録された。
先祖は仙台藩祖伊達政宗が安土桃山時代に大阪から招いた「御銅師(おんあかがねし)」。銅を観光資源とし、街歩きや銅細工体験を取り入れた「あかがねプロジェクト」に2020年3月から取り組む。
田中善副社長は「創業時から『柳町』(一番町1丁目)で銅を打ち、江戸時代の道具も戦火を耐えて残る。そうした銅の視点で仙台の歴史をとらえ直したら、街の魅力が再発見できる」と説明する。
ガイドブックを作成し、銅製品のある仙台城や寺社、銅鍋で作った菓子の店を地図に記した。新型コロナウイルス感染症の拡大で一時休止したが、銅細工体験にはこれまで40人以上が参加した。
1点1点職人が手作りする仙臺銅壺せり鍋
同年11月には、東日本大震災以降人気となった「仙台せり鍋」に新たな価値を加えようと、セリ鍋専用の「仙臺銅壺(せんだいどうこ)せり鍋」を発表した。農家や飲食店と試行錯誤し、四角形の調理器具銅壺の技術で浅型鍋を開発。セリをさっとくぐらせて食べるのに適し、銅による化学反応で葉の色が鮮やかになるという。
ただ、銅材が高騰しているほか、手作りのため高価になる。そこで飲食店が導入しやすいよう、メンテナンス込みのレンタル制を開始した。新事業として家庭用に鍋や玉子焼き器などのレンタル「シェア銅壺」も検討している。田中副社長は「銅は長持ちし、さびや経年変化が味わいとなる。そうした知識と共に銅製品の良さを広めたい」と意気込む。
タブレット端末を使って商品を説明する社員
伝統を大切にしながらもタゼンは現在、デジタル化推進のさなかにある。10代で銅職人として入社し、6年前から経営に携わる田中副社長が2019年に社員全員に職場環境の課題を聞き取ると、長時間労働や手書き伝票への不満が寄せられた。
改善のためデジタル化の専門部署を設置。勤怠管理システムを開発し、伝票はパソコンで作成、情報の一元化を図った。今年10月には社員にタブレット端末を配備し、出先で商品を提案したり、見積もり書を作成したりもできるようにした。デジタル化にあたっては当初、慣れない作業に戸惑う社員もいたが、時間をかけて取り組んできた。今後も社員が働きやすい環境を目指し改善を続けていく。
田中副社長は「変化にしなやかに対応してきたのは創業時からのタゼンの強み。デジタル化による社内の変革をお客さまのサービス改善にもつなげていきたい」と言葉に力を込める。
お問い合わせ
Copyright©City of Sendai All Rights Reserved.